FB Research Memo(3):インターネットインフラカテゴリは戦略投資期間中でも売上・利益を堅実に伸ばす(1)

特集
2021年7月2日 15時13分

■業績動向

1. 2021年4月期の業績概要

フリービット<3843>の2021年4月期の業績は、売上高は前期比5.9%減の52,009百万円、営業利益は前期比31.5%増の3,403百万円、経常利益は前期比47.6%増の3,661百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は2020年4月期にマイナスだった状態から一気にプラスの1,586百万円となった。

2022年4月期を初年度とする新中期経営計画「SiLK VISION 2024」(2021年7月下旬公表予定)の達成にあたっては、AI、量子コンピュータといった破壊的テクノロジーや、新型コロナウイルス感染症の罹患リスクを発端とする社会の新常態「New Normal」への対応が不可欠であると捉えている。

同社は「SiLK VISION 2024」の達成に向け、2021年4月期を「Trusted Internet」構想のもと、これまでの中期経営計画に沿って買収・資本業務提携してきた会社の有する多様なデータを徹底的に統合・連携・活用し、その連携後は垂直統合もしくは事業売却等による非グループ化により、「インフラ」「プラットフォーム」をコア領域としたグループ再編を順次行っていく「トランスフォーメーション・ターム」と位置付け、(株)フリービットEPARKヘルスケアや(株)アルク、(株)フォーメンバーズを連結の範囲から除外するなどのアクションを行い、オフバランス化を進めた。

2. インフラテック事業

インフラテック事業を取り巻く環境は、光アクセス回線を主とする固定網による通信サービス市場において、高速ブロードバンド環境の普及が一巡したことに加え、5Gをはじめとしたモバイル通信サービスの高速化が進んでいることで、成長は緩やかなものとなった。

新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響に伴うテレワークや自宅学習の普及により、宅内Wi-Fi環境を通じたオンラインでの会議や授業の利用増加に加え、同感染症拡大により不要不急の外出を控える「巣ごもり」が増加傾向にある。このため、在宅でのNetflix、YouTube、Amazon prime Videoなどの動画視聴、ゲーム等のリッチコンテンツやSNSの娯楽系サービスの利用増加等により固定回線網サービスの原価率は高い状況が続いている。テレワークも現在進んでおり、特に営業やマーケティングの業種では、業務効率化を主としたソリューションがDXの中心となっている。

CRM※1・SFA※2はSaaSベンダーを中心に高機能なサービスの開発や提供が進められており、メールやWeb会議との連携、営業業務のテンプレート共有、案件見込み度のスコアリング、最適行動の提案など、ツール間連携やAIによる機能拡充などが進められ、コロナ禍を契機にオンラインでの営業活動管理の必要性が認識され、高機能なSaaSを導入可能な大手企業を中心に市場は拡大するものと想定される。

※1 Customer Relationship Managementの略。顧客関係管理や顧客管理。

※2 Sales Force Automationの略。営業支援システム。

同社におけるコスト面では、ネット動画視聴やゲーム等のリッチコンテンツの利用増、クラウドサービスの利用拡大等による通信トラフィックの増加及びSNSやサブスクリプション型ネットサービスのようなアクセス頻度の高い製品の普及によりネットワーク原価は上昇している事実が認められている。

AMPU※は低下傾向にあり、MVNO・MVNE市場においては、大手モバイル通信キャリアによる格安プランの提供やサブブランドでの展開が独自型MVNOサービス事業者の成長に影響を与える傾向が続いているなど、業績全体に対してはややネガティブなマクロ環境にある。しかしながら、モバイル市場全体としての成長基調は継続しており、今後も拡大していく見込みである。

※Average Margin Per Userの略。顧客1人当りの平均粗利。

クラウド市場においては、様々なコンテンツ配信や電子商取引等に加え、IoT関連サービスのプラットフォームとしてもクラウドが不可欠な基盤となっており、それらの規模も引き続き伸長することが想定される。また、コロナ禍の影響によるテレワークの増加に伴い、光アクセス回線やモバイル通信サービスを利用したDaaSやVPNといったクラウドサービス等の需要が急速に高まっており、今後もその需要は拡大していくものと想定される。

業績に関しては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴う自宅学習やテレワークの普及により、宅内Wi-Fi環境を通じたオンライン授業や会議、ネット動画視聴のニーズが高まり、MVNO支援パッケージサービスをはじめとしたモバイル通信インフラサービスやインターネットセキュリティサービスの需要が増加したことにより売上高が増加した。一方で、自宅での動画視聴やリッチコンテンツ等の利用増加等により固定回線網サービスの原価率は上昇傾向が続き、セグメント利益に影響している。

モバイル通信関連サービスについては、同社がMVNEとして提供するMVNO支援パッケージサービス「freebit MVNO Pack」の導入MVNO企業数が増加するとともに、エンドユーザー向けMVNOサービスの拡販にも注力し、スマートフォンサービス「トーンモバイル」において、AI機能・基礎性能が大幅に向上した新スマートフォン端末「TONE e21」の販売を開始した。また、クラウド関連サービスについては、DaaSやVPNといったテレワーク需要に対応するサービスの拡販に注力した。また、CaaS領域においては、「DX for 5G era」サービスとアルプスアルパイン(株)の産業特化型サブスクリプション型ナビゲーションアプリの連携を開始する等、「pre 5G」技術を活用した「DX for 5G era」サービスを推進しているなど、様々な施策を同時並行的に展開している。

上記の施策・取り組みの結果、売上高は16,421百万円(前期比4.6%増)、戦略投資の影響を反映し、セグメント利益は436百万円(同49.1%減)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)

《ST》

提供:フィスコ

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