為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、FOMC議事要旨が手掛かり材料に
【今週の概況】
■民間部門の雇用拡大でドル買い優勢
今週のドル・円は強含み。6月29日発表の6月CB消費者信頼感指数は昨年2月来の高水準を記録したこと、6月30日発表の6月ADP雇用統計(民間部門雇用者数)の伸びが市場予想を上回ったことなどを好感して、リスク選好的なドル買い・円売りが活発となった。国際通貨基金(IMF)は7月1日、「量的緩和策の段階的な縮小(テーパリング)は2022年前半の開始が必要となる可能性が高い」と指摘したことや、・フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁が「今年終わりに、テーパリングを開始することを支持する」と述べたこともドル買い材料となり、ドル・円は2020年3月以来となる111円66銭まで買われる場面があった。
7月2日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時111円61銭まで買われた後、110円95銭まで下落した。この日発表された米国の6月雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びは市場予想を上回ったことから、一時ドル買いが強まった。しかしながら、失業率は予想に反して上昇し、平均時間給の伸び率は市場予想と一致したことから、インフレ加速の懸念は緩和された。米金融緩和策(量的緩和)の早期縮小観測は後退したことから、ドル買い・円売りは縮小し、ドル・円は111円04銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:110円42銭-111円66銭。
【来週の見通し】
■ドルは底堅い値動きか、FOMC議事要旨が手掛かり材料に
来週のドル・円は底堅い値動きか。直近で1ドル=111円66銭までドル高・円安が進行している。111円台後半から112円近辺には利益確定を狙ったドル売りの興味が残されているようだが、米民間部門の雇用情勢は改善しつつあり、ドル・円は主に111円近辺で推移し、底堅い動きを維持するとみられる。7月7日に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(6月開催分)で量的緩和策の早期縮小についての肯定的な意見が多くみられた場合、リスク回避的なドル売り・円買いは後退し、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準である1ドル=112円台前半の水準が意識されるとの見方が出ている。
一方、英国やオーストラリア、南アフリカなどで新型コロナウイルス変異株(デルタ株など)の感染が増加しており、他の国や地域への波及が警戒される。特に景気回復基調が鮮明なユーロ圏で感染が拡大した場合、世界経済へのダメージも想定されリスク回避のムードが強まりそうだ。その場合は、ユーロ、ポンド、豪ドルに対する米ドル買いが強まり、
クロス円レートは円高に振れるが、米ドル・円は下げ渋る可能性があるとみられている。
【米・6月ISM非製造業景況指数】(6日発表予定)
6日発表の米6月ISM非製造業景況指数は63.8と、前月の64.0を小幅に下回る見通し。
ただ、新型コロナウイルスの打撃からの景気回復傾向が顕著であることから、経済正常化への期待で株高・ドル高の要因となりやすい。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨】(7日公表予定)
米連邦準備制度理事会(FRB)は7日、6月15-16日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)
の議事要旨を公表する。議論の詳細から金融引き締めに関して消極的な意見が多く見られた場合、早期利上げ観測はやや後退する見通し。
予想レンジ:110円00銭-112円50銭
《FA》