来週の株式相場に向けて=秋口に向けた政局懸念も台頭
9日の日経平均株価は一時700円に迫る急落となったが、後場にかけ下げ渋り、結局177円安で終わった。この下落の直接のキッカケは、NYダウが259ドル安と急落したことだ。一部では、米国の景気減速懸念も囁かれた。
ただ、日経平均株価の急落の背景には、米株安だけにとどまらない要因が指摘されている。この日は、ETFの配当金捻出のための売りが出たことが、下落を加速させたとみられている。加えて見逃せないのが、「東京への4度目となる緊急事態宣言は菅政権の支持率低下を招きかねず、秋口にかけての政局不安に結びつきかねない」(市場関係者)ことだ。自民党総裁任期は9月末、衆院議員の任期は10月21日で、それぞれ満了となる。
都議会選は自民党にとって厳しい結果となっただけに、今後の政局動向からは目が離せない。海外投資家は政局動向には敏感であり、政治面の不安定さは日本株への買いを見送る要因にもなりかねない。「米国経済は基本的には高位安定が予想される」(アナリスト)だけに、NYダウは高値圏で推移する一方、日本株は上値が重いデカップリング(分断)はなお続く可能性もある。
そんななか、来週からは米国、今月下旬からは日本で決算発表が本格化する。この日発表された安川電機<6506>の決算は好調であり、企業業績の堅調さが相場を支える要因となることが期待されている。
米国では13日のJPモルガン・チェース<JPM>から決算シーズンに入る。14日にBACバンカメ<BAC>、15日にモルガン・スタンレー<MS>が決算を発表する。また、13日の米6月消費者物価(CPI)への関心が高いほか、15日の中国4~6月期GDP、16日には米6月小売売上高が発表される。
国内では、12日にコスモス薬品<3349>やコーナン商事<7516>、13日に東宝<9602>、14日にサイゼリヤ<7581>、15日にウエストホールディングス<1407>の決算発表がある。更に15日から16日にかけ日銀金融政策決定会合が開催される。来週の日経平均株価の予想レンジは2万7300~2万8500円。(岡里英幸)