伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 7月11日版
日経平均は1月6日の安値2万7002円が本年の最安値になる可能性が出てきた
1.予想よりも実際の値動きを重視することが大切
現実が想定していた展開と違ったら素直に現実を受けいれないと、相場ではうまくいきません。最初の自分の考えに固執すると、日が経つにつれて受け入れられない程度まで損が膨らみ、投資資金の大部分を失います。
筆者は、7月9日の NYダウの変化を受け入れることにします。筆者が固執していたポイントは「9月までの期間、強気の年であっても積極的に高値を取りに行く展開になりにくいので、5月10日の高値3万5091ドルが強い抵抗になる」ということでした。
実際、5月10日以降、徐々に戻り高値の値位置を下げて、上値の重さを示す動きになっています。6月18日には5月19日の安値を割れて、振れ幅の大きな上値、下値を切り下げる流れを作っています。7月2日は、6月1日の高値で上値を抑えられて、2日から8日までの期間でジグザグに上値、下値を切り下げる流れを作り、短期的にも弱さを示しています。
7月8日の時点では、「9月頃まで上値を抑えられやすい時期を前に、強力な壁のある状態」「短期的に弱気の流れを作り、積極的に下値を試す動きへ入る可能性のある状態」でした。目先的には、6月18日の安値3万3271ドルを目指す展開の一択のように見える場面です。
しかし、7月9日はNYダウが急反発して、6月1日の高値3万4849ドルを一気に超えています。9日の上昇により、現在は5月10日の高値3万5091ドル前後が強い抵抗になっている展開と、3万5091ドルが市場参加者に意識されていない展開の両方を考えておく必要が出てきました。
NYダウの5月10日の高値3万5091ドルが意識されている場合、9日の上昇はいけるところまで一気に上げて、大陽線をつけた動きになります。その場合、週明け後は、7月9日の高値3万4893ドル付近で上値を抑えられて、短期の天井型を作る展開になると考えられます。
具体的には図1の通り、週明け後、すぐに上値の重さを確認した後、価格が下げて7月下旬頃までの期間で、三尊天井を形成する動きになると考えられます。積極的に下げる動きは、7月下旬以降に表れる公算です。
図1 NYダウ日足(弱気の展開)