明日の株式相場に向けて=脱炭素フィーバーの夏相場

市況
2021年7月14日 17時00分

きょう(14日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比109円安の2万8608円と反落。日経平均は寄り付き直後の午前9時1分に235円安まで突っ込んだが、そこが本日の安値となった。そこからは急速に下げ渋り、プラス圏に踏み入ることはできなかったものの下値抵抗力を発揮した。前日に米国株市場でNYダウが100ドルあまりの下げとなり、ナスダック総合指数S&P500指数なども足並みを揃えて3日ぶり反落となった。東京市場では今週に入ってからの2営業日で777円の上昇(終値ベース)をみせていたが、ここはひと押し入れてもいいところではある。

米国株が軟調とはいっても、ナスダック指数などは取引前半の段階では上値指向を明示し、ザラ場ベースの最高値を更新している。注目された6月の米消費者物価指数(CPI)が市場予測を大幅に上回る強烈な伸びを示したにもかかわらず、である。CPIは前年同月比で上昇率5.4%と市場予想の4.9%を大きく上回った(食品・エネルギーを除くコアCPIは前年比4.5%で市場予想は4.0%)。これは1991年以来30年ぶりの記録的な伸びであったが、普通であれば長期金利が急上昇して、株式市場も波乱に見舞われるというケースとなっても全く不思議はなかった。ところが、そうはならなかった。米10年債利回りは1.36%台から1.42%台に上昇したが、この程度の上下動は日常茶飯事である。株式市場も極めてクールに受け止めた。市場関係者によると「米CPIの内訳をみると、半導体不足に伴う新車の供給難がもたらした中古車価格上昇、あるいは新型コロナの反動でホテル料金や航空運賃の値上がりといった特殊要因が積み上がったものであり、パウエルFRB議長が主張するところの一過性のものという判断を逸脱するものではなかった。下値では待機資金が買い出動の機をうかがっており、相場が崩れるようなムードは感じられなかった」(ネット証券アナリスト)という。

一方、あすは中国で重要経済指標の発表が相次ぐ。ここ最近の中国は、米国と対峙しているうちに少し弱気に傾いているのではないかと思わせるところがある。中国企業の海外上場規制なども政府がやや疑心暗鬼になっているフシがあるが、経済先行きにも若干不安を指摘する声が出ている。前出のアナリストは「中国景気にはピークアウト感が高まっている。中国政府は共産党大会に合わせて政策後押しによって無理やり経済を押し上げたが、そのツケが出ている。(9日に発表された)6月のCPIとPPIをみると、PPIはコンセンサス通り高い数値だが、CPIは事前予想を下回り、川上インフレ・川下デフレの色が強い。あす15日に発表される6月の小売売上高や工業生産などが注目となり、その数字次第では波乱の種となることもあり得る」としている。

個別では、再生可能エネルギー関連株が凄まじい勢いだ。レノバ<9519>やウエストホールディングス<1407>はひとまず上昇一服となったが、イーレックス<9517>は空売りをロケット燃料に変えて最高値圏を突き進んでいる。再生可能エネルギー関連は、仮にこれらの象徴株の動きが鈍くなっても、ここで回転を利かした資金は強力で、出遅れ株へのシフトをみせる可能性が高い。この流れで急速に頭角を現してきたのがエフオン<9514>だ。省エネ支援ビジネスのほか木質バイオマス発電事業を展開するが、イーレックスのような取り組み妙味はないものの、11倍のPERは割安感がある。光通信<9435>が1割近い同社株式を保有する大株主だが、これはイーレックスとの共通項でもある。エフオン以外では、太陽光発電に積極的な日本アジア投資<8518>も注目すべきタイミングにみえる。

このほか、当欄で継続的に取り上げてきた愛三工業<7283>がいい動きだが、同じトヨタ系の自動車部品会社で買い場にきていると思われるのが大豊工業<6470>だ。また、5月以降フォローしてきた銘柄で、高精度X線集光ミラーや自動細胞培養装置でニッチトップの座を射止めるジェイテックコーポレーション<3446>を改めてマーク。21年6月期業績予想を下方修正したが、ポイントは22年6月期の業績見通しがどうなるかだ。

あすのスケジュールでは5月の第3次産業活動指数、日銀の金融政策決定会合(~16日)など。海外では、4~6月期の中国GDP、6月の中国工業生産、6月の中国小売売上高、1~6月の中国固定資産投資、1~6月の中国不動産開発投資、7月の米NY連銀製造業景況指数、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月の米鉱工業生産・設備稼働率、パウエルFRB議長の上院での議会証言など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.