【杉村富生の短期相場観測】 ─引き続き、個別物色の展開!狙う銘柄は?
「引き続き、個別物色の展開!狙う銘柄は?」
●ブラックロックが投資判断を引き上げ!
夏相場はこれまで同様、個別物色の展開だろう。個人投資家にとっては好環境といえる。半面、インデックス(日経平均株価、TOPIXなど)の上値は期待できない。NYダウ、ナスダック指数は史上最高値圏だが、基本的には高値保ち合いだ。中国は7月9日、預金準備率を0.5%引き下げた。景気テコ入れ策である。
アメリカの製造業はフィラデルフィア景況指数の低下にみられるように、パンデミックによるサプライチェーンの混乱が響いている。ウッドショックがあったし、半導体不足は継続中だ。ドイツ西部、ベルギーは豪雨、洪水である。さらに、新型コロナウイルスの変異種「アルファ株」「デルタ株」「ラムダ株」が猛威を振るっている。
一方、日米ともに、企業業績は好調だ。S&P500ベースの増益率は1-3月期の52.6%に続き、4-6月期は64%と予想されている。日経平均株価の1株利益(予想ベース)は2055円と実績比3割増、2019年の水準(1750円)を2割上回る。これは収益面ではコロナショックを克服したことを意味する。
ではなぜ、株価(全般相場)は上昇しないのか。それは積極的な買い手不在の状況、円安トレンドに起因していると思う。外国人は6月に続いて、7月第1週も買い越したが、金額は少ない。為替(円)は年初以来、ドルに対し10%、ユーロに対し15%の円安になっている。確かに、輸出企業には輸出採算の改善、競争力の強化につながるだろう。
しかし、外国人には差損が発生する。円安トレンド下での投資は難しい。したがって、先物を売る。カラ売りをする。ただ、ここにきてコロナワクチンの接種率の上昇に加えて、円安はピークアウトとみたのか、運用資産995兆円を誇るブラックロック<BLK>が日本株の投資判断を引き上げた(アンダーウエート→ニュートラル)。これは評価できる。
●スノーピーク、アジア航測などに妙味あり!
もちろん、日本株には世界的な景気敏感セクターとしての特性がある。米中経済は若干息切れ状態だが、コロナショックをほぼ乗り越えたのは確かだろう。ブラックロックはその点を見極めている。今回は売り→中立の変更にとどまっているが、この効果は大きい。他のファンドも日本株を見直すだろう。
さて、この局面での狙い目はどうか。やはり、セオリー通り好業績、テーマ性内包の銘柄を攻めたい。まず、台湾系半導体製造装置関連のテラプローブ <6627> [東証2]だ。6月17日に2193円の高値をつけたあと調整している。押し目限界だろう。デクセリアルズ <4980> は電子部材・光学部品を手掛けている。
日本電子 <6951> は新値追いだ。抜群に強い。「第2のレーザーテック」との声がある。イボキン <5699> [JQ]の業績は絶好調だ。2021年12月期の1株利益は400円に迫るだろう。発行株式数が171万株と少ないだけに、株式分割の可能性が高まっている。新日本科学 <2395> は大きな上値余地を残している。
アジア航測 <9233> [東証2]もそうだ。日本電解 <5759> [東証M]の電解銅箔は電子・電気機器の回路基板の導体に使われる。用途はリチウムイオン電池、5G(次世代通信網)、スマートフォン向けなど拡大の一途である。2022年3月期の1株利益は120円と予想されている。
スノーピーク <7816> はアウトドアブームのメリットを享受している。新潟県のキャンプ場(本社所在地)の敷地面積は3倍にする。株価は力強い上昇波動をみせている。とはいえ、まだ反騰初期段階だ。当たり屋筋の介入説がある。夏場のキャンプシーズンを迎え、一段高となろう。
2021年7月16日 記
株探ニュース