日経平均は6日ぶりに反発、朝方急上昇も失速、連休明けの株高に望みをつなぐには・・・/ランチタイムコメント
日経平均は6日ぶりに反発。135.59円高の27523.75円(出来高概算4億7420万株)で前場の取引を終えている。
前日20日の米株式市場でのNYダウは549.95ドル高(+1.62%)と大幅反発。19日引け後に発表されたIBMの決算が予想を上回るなど企業の好決算が好感されたほか、新型コロナウイルス再流行への懸念を受けた前日の急落は行き過ぎとの見方から押し目買いが優勢だった。ナスダックも+1.57%と大幅に反発した。全面高となった米株市場を背景に本日の日経平均は358.90円高の27747.06円でスタート。朝方は買い戻しが続き一時は27882.43円(+494.27円)と上げ幅を500円近くにまで拡げた。しかし、買い戻し一巡後は戻り待ちの売りに押され、大きく上げ幅を縮小していく動きが続いた。
個別では、業績予想の大幅な引き上げを手掛かりにNOK<7240>、イーグル工業<6486>がそれぞれ急伸して値上がり率上位に並んだ。証券会社によるレーティング引き上げが観測された三井ハイテック<6966>、リチウムイオン二次電池(LiB)用バインダーなどに使用されるフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)の製造設備増強を決定したクレハ<4023>なども大幅に上昇。そのほか、ソフトバンクG<9984>や東エレク<8035>がしっかりで、トヨタ<7203>、ソニーG<6758>、日本電産<6594>、日本郵船<9101>、村田製<6981>など主力どころも堅調。米10年債利回りの急低下が一服したことで三菱UFJ<8306>、三井住友<8316>などの大手銀行株のほか、JR東海<9022>やJAL<9201>といったアフターコロナ関連銘柄もしっかり。一方、前日に大幅上昇したキヤノン<7751>、レーザーテック<6920>などは下落している。
セクター別では海運業、金属製品、輸送用機器などが上昇率上位に並んでいる一方、鉱業と医薬品の2業種のみが下落している。東証1部の値上がり銘柄は全体の83%、値下がり銘柄は12%となっている。
連休前の最終営業日の日経平均は米株の急反発を手掛かりに朝方は大幅に反発。一先ず、200日移動平均線が位置している27700円近辺まで戻したことで同線が下値支持線として意識され、安心感が強まったが、前引けにかけては同線を割り込む水準にまで押し戻されており、不安感を残す形で前場を終えている。連休明けの株高へ望みをつなぐには本日終値で同線をキープしておきたいところだ。
日経平均は200日線が位置する現在の水準がテクニカル的にもボトム感があるが、小節目となる27500円を切るところまで下がると、PERは13倍台前半にまで低下し、PBRでは1.2倍を割り込むため、バリュエーション的にもこのあたりがボトムとして意識される。後場は正念場となるが、できれば200日線上は維持したいし、最低でも27500円はキープしたいところ。仮に27500円も割り込んで終えるとなると、かなりムードは悪く、連休中の海外市場の動きにもよるが、連休明けの27000円割れも覚悟しておく必要がありそうだ。
また、日経平均は急落した後に急反発といった動きを繰り返しているが、前回の戻り高値を上回れないことで、バブル崩壊後の最高値を記録した2月中旬以降、上値切り下げトレンドが継続している。この5カ月の間に信用買い残が積み上がっており、短期反発の度に上値で買ってしまっている投資家も多いため、28000円以上の水準ではしこりも多く出来てしまっていると考えられる。下値余地は限られる一方、上昇するにも、ここからは辛抱強く戻り待ちの売りをこなす必要があるため、水準の切り上げには時間がかるだろう。
そのほか、本日は大引け後に日本電産の第1四半期決算が発表される。今期見通しは半導体不足を考慮して保守的な計画になっているとの声が多い。4~6月の間、半導体不足によって自動車生産が抑えられているといったニュースフローは多かったが、影響が大きいのは従来型の内燃型機関車で、同社が注力している電気自動車(EV)については各メーカーが生産を優先していることもあり、影響は大きくないと予想される。先んじて発表されている安川電機<6506>や前日のキヤノンなど、製造業の業績はこれまでのところ非常に良好なところが多い。日本電産も1四半期から大きく上振れて早々に業績予想を引き上げてくれば、相場にポジティブな影響をもたらすと同時に、来週から本格化する決算シーズンに対する期待値も高まるだろう。
後場は、前述したように日経平均で27500円および200日線(27700円)をキープできるかという正念場になるが、27500円はキープできるのではないかと予想する。NYダウは大幅反発しているが、前の日の急落分は取り戻せていないうえ、不透明要素も数多く残っており、全体的なムードは確実に良くない。しかし、引け後の日本電産の決算を前にここから一段と売り崩すことは考えにくいほか、東京市場が連休中の間に決算を手掛かりに米株が再び高値を更新してくる展開も想定されるため、ポジションを一方向に傾けることは考えにくい。後場は前引け水準からの一進一退、もしくは、200日線回復に向けた再上昇といった動きになるのではないだろうか。
《AK》