【杉村富生の短期相場観測】 ─辛抱(猛暑)の夏の後は涼風(実り)の秋!
「辛抱(猛暑)の夏の後は涼風(実り)の秋!」
●米国債の金利低下は需給要因によるもの!
週明け(19日)のNYダウの急落(725ドル安)にはビックリされた人(投資家)が多かったのではないか。突然の豪雨である。しかし、心配することはない。 猛暑(辛抱の夏)の後には涼風の秋が訪れる。そう、実りの秋である。
改めて述べるまでもない。日米両市場ともに、インデックス、ETF(上場投信)主導の相場だ。基本的に順張りである。値動きは一方通行になる。国際マネーはNYダウ、日経平均株価、 S&P500指数、TOPIX、ナスダック100指数などの先物、ETFに集中投資を行っている。
確かに、金利は低下した。米10年物国債利回りは19日に、1.189%と1.2%割れだ。これについて、専門家は「景気の先行きに対する不安感の反映」と解説する。それはあろう。ただし、筆者の見方はやや違う。
年初、米10年物国債利回りは1.7%台に乗せ、次のターゲットは「1.75%」とか、「2%台があり得る」と言われていた。このため、内外の機関投資家はドル債投資のチャンスを逃してしまったという。だが、実際は真逆の動きである。ウォール街では「1%以下になる」とささやかれている。
結果として、「1.2%でも買いではないか」と。金利低下には需給要因があったと思う。古来、泣く子と需給には勝てない、という。さらに、需給は全ての材料に優先する、との教えがある。金利低下→景気失速と短絡的に受け止めてはいけない。すなわち、株高は継続する。
●企業業績はコロナショックを完全に克服!
それに、企業業績は絶好調だ。S&P500指数ベースの決算数字は1-3月期の52.5%増益に続いて、4-6月期は69.3%増益と予想されている。日経平均株価の1株利益は予想ベースが2050円、実績ベースが1584円だ。これは29.4%増益となる。
好業績が株価を下支えする。日本企業はコロナショックを完全に克服した。ちなみに、2019年の日経平均株価の1株利益は1750円前後だった。現在の水準はこれを約2割上回る.コロナワクチンの接種は順調に進展、接種率(1回目)は3割を超え、10月初めには集団免疫体制獲得の目安となる70%に到達する見込みである。
こうした状況に加え、世界的な景気敏感セクターとしての日本株を見直そうとの動きが台頭している。ブラックロック<BLK>(運用資産995兆円の世界最大の投資ファンド)の投資判断引き上げがそうだし、外国人は6月以降、買い越しに転換してきた。国内勢もアンダーウェイト修正に向け、行動を開始している。
一方、物色面ではどうか。引き続いて、個人投資家好みの材料株にマトを絞りたい。 半導体関連のワイエイシイホールディングス <6298> 、テクノスマート <6246> [東証2]、中国向けEC(電子商取引)のアクシージア <4936> [東証M]は狙える。半導体関連のテセック <6337> [JQ]は押し目限界だろう。
このほか、業績の大幅上方修正が確実な産業廃棄物処理業のイボキン <5699> [JQ]、ハザードマップ関連のアジア航測 <9233> [東証2]、キャンプシーズンを狙えるスノーピーク <7816> 、PBR0.44倍の住江織物 <3501> はロングランに注目できる。
2021年7月21日 記
株探ニュース