山田勉氏【強弱観対立の市場、8月のマーケット展望を読む】(1) <相場観特集>

特集
2021年7月26日 18時30分

―7月相場も大詰め、コロナ禍での業績と株価の行方は―

4連休明けとなった26日の東京市場は連休期間中に米国株市場で主要株指数が上昇歩調を強めたこともあって、リスク選好の流れとなり、日経平均株価は寄り付き直後に2万8000円ラインを突破するなど上値指向の強い地合いとなった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に対する警戒感は根強く、今後も一貫して戻りを試す展開となるかどうかは見極めにくい。米長期金利の低下傾向に歯止めがかかるなか外国為替市場では1ドル=110円台前半でもみ合いが続いている。今回は、株式市場の見通しについてauカブコム証券の山田勉氏に、為替の見通しは外為オンラインの佐藤正和氏に、それぞれ意見を聞いた。

●「2万7500~2万9000円のレンジ相場」

山田勉氏(auカブコム証券 投資情報室 マーケットアナリスト)

日経平均は週明け大幅高のスタートとなったが、買い一巡後は上値の重い展開を強いられた。米国株市場では企業の好決算発表を原動力に主要株指数が最高値圏を走っているが、東京市場は、そのリスク選好の流れになかなか乗り切れない状況が続いている。これはファンダメンタルズ面で日本が世界に後れを取っていることが株価に反映されたものだ。欧米ではGDPや企業業績などが21年4-6月期にリスタートを切った形となっているが、それに対して日本は4~6月期はおろか7~9月期もスタートを切ることができないような状況にある。つまり、株式市場では外需株の一角は買えるが、内需株は買えない二極化の様相を呈している。

新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されているというよりは、新型コロナへの政策対応のまずさが経済や株価の足を引っ張っているといってよい。東京市場の上値を重くしている最大のネガティブ要因は政局不安である。ただし、秋の総選挙は避けて通ることはできない。菅政権は選挙を前にして大型の補正予算を打ち出すことが必要条件となっている、これが東京市場にとって全体株価に浮揚力をもたらす可能性はある。

一方、今週予定されるFOMCでは、インフレ懸念が取り沙汰されるなかも、これまでの緩和的政策路線からの変更はあり得ないし、パウエルFRB議長の記者会見も雇用回復を優先するという従来のスタンスに微塵の変化もないであろう。したがって相場の波乱要因とはなりそうもない。

8月相場で日経平均は下値2万7500円、上値2万9000円のレンジ相場が続くとみている。物色対象はやはり外需セクターが中心となりそうで、米アップル<AAPL>の「iPhone13」の思惑から村田製作所 <6981> 、太陽誘電 <6976> などの電子部品株や、アフターコロナを見込んだ企業の設備投資回復の流れを背景にTHK <6481> やミスミグループ本社 <9962> などの上値余地に注目している。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(やまだ・つとむ)

マーケットアナリストとして証券界で十数年活躍。2004年5月、カブドットコム証券(現auカブコム証券)入社。『こちカブ』(ラジオNIKKEI)『まーけっとNavi』(日テレNEWS24)『マーケットホットライン』(ストックボイス)などに出演。

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