来週の株式相場に向けて=日経平均反騰の突破口探す展開に
30日の東京市場で、日経平均株価は498円安と急落し、1月6日以来の水準に落ち込んだ。この日で毎月の最終営業日の下落は11カ月連続となり、「月末安」のアノマリー(経験則)は継続した格好だ。
しかし、それ以上に注目されたのが、ファナック<6954>や富士通<6702>、新光電気工業<6967>といった好決算発表銘柄が売り叩かれたことだ。市場には「買い手不在のなか、好調な決算が逆に材料出尽くしとして受け止められた」(アナリスト)との見方がある。特に、ファナックの信用倍率は5.8倍、新光電工は7.7倍と需給面も良くないことを指摘する声が出ている。
とりわけ、足もとで感染力の強い新型コロナウイルスの変異株(デルタ株)の感染拡大が止まらないことへの警戒は強い。経済への直接的な影響はもとより、新型コロナ感染拡大は菅内閣の支持率低下の要因にもなるだけに、秋口にかけての政局不安をかきたてる。
なかなか、反転のきっかけは見出しにくいが、足もとの株価安が値頃感を生むことが考えられる。日経平均株価の目先の下値メドは、1月6日安値の2万7002円、続いて52週移動平均線の2万6973円前後が意識されている。ここで踏みとどまればリバウンド狙いの買いも期待できそうだ。
来週は、週末6日の決算発表が約570社とピークを迎える。2日に三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>、3日に日本製鉄<5401>、三菱商事<8058>が予定されており、4日にはトヨタ自動車<7203>やソニーグループ<6758>、5日には任天堂<7974>が決算を発表する。なかでも、トヨタの決算に対する市場の関心は高く、同社の株価動向は今後の東京市場の動向をみるうえでのポイントとなりそうだ。更に、6日にはレーザーテック<6920>や三菱地所<8802>などが決算発表を予定している。
海外では、週末6日の米7月雇用統計が最大のポイントとなる。それに先立つ2日に米7月ISM製造業景況感指数、4日に米7月ADP雇用統計などが公表される。来週の日経平均株価の予想レンジは2万6900~2万7600円。(岡里英幸)