【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─好業績株の押し目を長期目線で狙う

市況
2021年7月31日 8時00分

「好業績株の押し目を長期目線で狙う」

●直近安値下回る水準まで下落、ボトムを探る動きに

日経平均株価は2万8000円水準が心理的な抵抗となるなか、2万7500円処を支持線としたレンジ推移が続いていた。しかし、週末30日には前日比498円安と大幅に下落し、5月につけた安値2万7385円を割り込んでいる。

新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込めず、政府は首都圏3県と大阪府に緊急事態宣言を発出するほか、東京都と沖縄県では緊急事態宣言が延長される。経済活動の正常化の遅れが懸念されて物色意欲は強まらず、断続的なインデックス売買に振られやすい需給状況になっている。また、発表が本格化する日米企業の決算が手掛かりとなるなか、週末には決算が失望された米アマゾン・ドット・コム<AMZN>が時間外で急落したことも投資家心理を冷やした。また、中国による大手IT企業への規制強化の動きに対する警戒感などもくすぶっている状況だ。

日経平均株価は7月最終日に直近安値を下回る水準まで下落したが、明確なボトム形成の確認には至っていない。来週は米国で雇用統計など重要な経済指標の発表が予定されている。また、決算発表についても引き続き1100社以上が控えている。好決算企業に対する物色は見られるものの、日替わり的な動きになる可能性がある。短期的な需給面での影響により、イレギュラー的な価格形成となる可能性もあるため、業績に安心感のある銘柄の押し目をやや長期目線で狙うスタンスが有効と考えられる。

●来週の活躍期待「注目5銘柄」

◆アドバンテスト <6857>

7月28日に2022年3月期業績予想を修正。 半導体需要の拡大による試験装置需要の増加が続き、連結営業利益の見通しを従来予想の850億円から1000億円に引き上げた。また、1000万株(発行済み株式数の5.1%)・700億円を上限とする自社株取得枠を設定。コンセンサスを上回る上方修正が好感され、株価は29日に強い動きを見せたが、週末30日は地合いに押される格好で利食い優勢に。チャート上では75日線に上値を抑えられている。好業績の同社株に対しては押し目狙いのスタンス。

◆Jストリーム <4308> [東証M]

7月29日に発表した22年3月期第1四半期(4-6月)連結決算は、売上高が前年同期比37.5%増の31.7億円、営業利益が2.3倍の5.63億円だった。コロナ禍において引き続きライブやオンデマンド、Web制作系が全般に好調に推移。販促イベント・セミナーや情報共有利用も拡大している。なお、9月30日を基準日とした1株→2株の株式分割も発表。株価は1月29日につけた6840円を高値に調整が続き、約1年ぶりに3000円を割り込んでいる。昨年3月以降の上昇幅に対して半値押しを超える水準まで調整したことで、いったんはリバウンド狙いのスタンスとなろう。

◆日本アビオニクス <6946> [東証2]

7月29日に発表した22年3月期第1四半期(4-6月)連結決算は、売上高が前年同期比18.2%増の43.74億円、営業利益が3.25億円(前年同期は0.4億円の赤字)と黒字に転換。情報システムは主要プロジェクトの端境期により受注高が減少したが、接合機器は 5G関連需要により堅調に推移。赤外線機器も生産設備用途の需要が回復傾向を示している。通期計画を据え置いたことで週末30日は売りが強まったが、5月の上昇局面で空けたマドを埋めており、調整一巡感の台頭に期待。

◆NISSHA <7915>

5月12日に21年12月期業績予想を上方修正。これを材料視した買いにより6月半ばには一時1700円を突破している。その後は緩やかな調整が続き、75日線水準まで下落。モビリティ・家電向けなどに産業資材事業の製品需要が堅調に推移。第1四半期の連結営業利益の通期計画に対する進捗率は50.5%であり、8月5日に予定されている第2四半期決算発表での上振れも期待されやすい。

◆フジミインコーポレーテッド <5384>

シリコンウエハーや半導体デバイスなどの加工に使われる研磨材を手掛ける。5Gサービスの本格化やテレワークの広がりにより半導体需要が伸長。研磨材は半導体回路の製造に欠かせない部材であり、インテル<INTC>や台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>などの半導体増産の動きは同社にとって追い風となろう。株価は6月7日につけた5290円をピークに調整が続いていたが、足元では75日線を支持線としてリバウンドを演じ、6月につけた上場来高値5290円を窺う態勢にある。なお、第1四半期決算は8月3日に発表予定。

2021年7月30日 記

株探ニュース

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