来週の株式相場に向けて=好業績銘柄の選別物色続く
日経平均株価は11日まで4日続伸し、一時2万8279円まで上昇した。12日、13日と続落し2万8000円を割り込んだものの、200日移動平均線(2万8016円)奪回がみえ相場は回復基調にある。
この相場上昇の背景にあるのは「予想以上に堅調な第1四半期(4~6月)決算」(市場関係者)だ。大幅な増額修正・増配が話題となった商船三井<9104>や日本郵船<9101>など海運株を筆頭にジェイ エフ イー ホールディングス<5411>や日産自動車<7201>、村田製作所<6981>などに上方修正が相次いだ。「第1四半期時点でこれほど増額修正の発表が相次ぐことは珍しいのでは」(同)という状況だ。この好決算が日経平均株価の押し上げ要因となっている。
しかし、その一方で依然として上値は重い。これは新型コロナウイルス変異種(デルタ株)の感染拡大が警戒されるほか、衆院選を含む秋の政治日程をみると買い上がりにくい状況は続く。報道各社の世論調査で菅内閣に対する支持率は軒並み最低を更新。9月には自民党総裁選も行われる方向となりつつある。特に、来週22日には菅首相のお膝元である横浜市で市長選があり、その結果次第では「菅政権の先行きが一段と不安定化する可能性もある」(アナリスト)という。好業績と政治不安の綱引き状態はしばらく続くだろう。
そんななか、相場は個別株物色の色彩を強めそうだ。例えば「半導体株全般には不透明感が出ているが、TOWA<6315>や野村マイクロ・サイエンス<6254>のような銘柄に対する評価はまだこれから」(同)の状況にある。
来週のスケジュールをみると第1四半期決算は13日で一巡するが、16日には東京エレクトロン<8035>の決算が予定されている。また、海外では18日にエヌビディア<NVDA>、19日にアプライド・マテリアルズ<AMAT>が決算発表を行う。16日には日本の4~6月期国内総生産(GDP)が発表される。米国では17日に米7月小売売上高が公表される。20日には東証マザーズにフューチャーリンクネットワーク<9241>とシイエヌエス<4076>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは2万7700~2万8400円。(岡里英幸)