来週の株式相場に向けて=再び30年ぶり高値接近、新展開はあるか
東京株式市場は、日経平均株価が8連騰のあと一服を経て、週末10日も373円高と強烈な上げ相場が続いている。2月16日につけた(3万467円)はあとわずかなだけに、どこまで上昇が続くのかが焦点だ。今春に続き再び30年半ぶり高値に躍り出た時、いったん目標達成となるのか、それとも一段の上昇を目指すのか。
いちはやく年初来高値を更新したTOPIXは、足もとで年初から約16%の上昇。日経平均は同11%の上昇にとどまっている。TOPIXの上昇率を日経平均に当てはめると、3万1800円前後という水準が参考値として弾きだされる。指数の性格が違うため単純比較はできないが、出遅れの日経平均株価に一段の修正余地は残されている。また、足もとの上昇の牽引役は海外投資家の買い戻しとみられているが、海外勢は年初から先物で依然として2兆3000億円前後の売り越し状態にある。なおショートカバー(買い戻し)はくすぶっている。
ただ、騰落レシオ(25日移動平均)は139と、警戒ラインの120を上回っている。昨年の米大統領選後にNYダウが急伸したように、政治の転換は株式市場に強烈な買いエネルギーを生むことがある。それだけに、過去の経験則は当てはまらないことが多いが、株価に過熱感が出ていることは確かだ。
来週は、17日に自民党総裁選の告示(29日投票)が予定されており、総裁選絡みの動向は依然として要注目だ。レノバ<9519>など脱炭素や野村総合研究所<4307>などデジタルトランスフォーメーション(DX)関連に絡む銘柄が関心を集めている。また、海外では米国時間14日(日本時間15日)にアップルの特別イベントが予定されている。iPhoneの次期モデルが発表される可能性もあり、村田製作所<6981>やTDK<6762>などアップル関連株の動向に注目したい。
経済指標絡みでは、16日に米8月小売売上高が発表される程度で、目立ったイベントは予定されていない。13日に福岡証券取引所QボードにGeolocation Technology<4018>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは2万9700~3万900円。(岡里英幸)