【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─出遅れマザーズの政策関連銘柄に注目

市況
2021年9月11日 8時00分

「出遅れマザーズの政策関連銘柄に注目」

●政策期待が高まり、海外勢は日本株比率の引き上げも

菅総理の突然の総裁選出馬辞退をきっかけに、株式市場では政策期待が一気に高まった。日経平均株価は上昇ピッチの速さからヘッジ対応に伴う買いが勢いづき、先物主導の上昇によって裁定買いの動きが活発化し、さらに指数を押し上げる展開となった。先進国の中で日本株の比率を相対的に低めに設定していた海外投資家が、急速に比率を引き上げたこともあり、日経平均株価は一気に3万円の大台を回復している。9月限の先物オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)通過後は、ヘッジ買いが一巡するとの見方もされていたが、SQ通過後も上昇基調は続いており、政策期待が高まるなかで海外勢の比率修正への思惑が一段と高まっている。

TOPIXが早々に2000ポイントを突破し高値を更新するなか、日経平均株価の出遅れ感が意識されやすい。また、中小型株ではジャスダック平均に対して、マザーズ指数の出遅れがより目立っている。急ピッチの上昇に対する過熱が警戒されるなか、物色は次第に出遅れている銘柄の修正リバウンドを狙うスタンスへとシフトしやすいだろう。

また、来週には総裁選候補者が確定し、各候補者の政策テーマに関連する銘柄への関心が一段と高まる展開が想定される。そのため、今回はマザーズ上場銘柄であり、かつ調整一巡に伴うリバウンドを想定した政策テーマに関連する銘柄を選定した。

●来週の活躍期待「注目5銘柄」

◆弁護士ドットコム <6027> [東証M]

日本最大級の法律相談ポータルサイトを運営。また、クラウド型の電子契約サービス「クラウドサイン」を手掛けている。政策期待が高まる需給状況下において、電子政府脱はんこ関連の一角として注目。株価は20年10月21日につけた1万5880円をピークに調整トレンドを形成しているが、21年8月17日の安値5500円をボトムに、足元で緩やかなリバウンドをみせている。75日移動平均線に接近するなか、見直しの動きが強まる可能性がある。

◆HENNGE <4475> [東証M]

セキュアな企業向けクラウドセキュリティサービス「HENNGE One」(SSO、アクセス制限、情報漏洩対策など)を提供している。また、多要素認証や2段階認証プロセスと呼ばれる認証のための仮想デバイスアプリ「HENNGE Lock」なども手掛ける。行政をはじめ社会のデジタル化への取り組みが急がれるなか、政策関連として注目。株価は1月25日につけた1万0610円を高値に調整が強まり、8月13日には2786円まで下落。足元でリバウンドを強めてきており、52週移動平均線に接近している。短期的な過熱感は警戒されるものの、52週線突破からの一段高を想定。

◆BASE<4477>[東証M]

誰でも簡単にネットショップが作成できるサービス「BASE」を提供。即時に資金調達できる金融サービス「YELL BANK」やオンライン決済サービス「PAY.JP」なども手掛けている。上述したHENNGEと同様に、デジタル化推進のテーマを背景に政策関連として注目。コロナ禍がもたらしたニューノーマル(新常態)の社会では、ECショッピングや決済サービスの需要は今後も広がることが予想される。株価は1月25日につけた2900円を高値に調整を強め、8月18日には968円まで下落。足元で緩やかなリバウンドを継続しており、13週移動平均線を捉えてきている。トレンド転換を想定。

◆プレイド<4165>[東証M]

リアルタイム解析で新たなウェブ接客を実現するCX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」やCX特化型メディア「XD(クロスディー)」の開発・運営などを行う。「KARTE」は訪問者の特徴や行動をリアルタイムで可視化することができ、EC市場での需要拡大が期待される。株価は4月20日につけた5080円を高値に大きく調整し、8月6日には2150円まで下落した。その後は緩やかにリバウンドし、足元では13週移動平均線を支持線に変えてきている。

◆アドベンチャー<6030>[東証M]

格安航空券の予約サイト「スカイチケット」を運営。政府は11月頃をメドに「ワクチン・検査パッケージ」を活用し、社会経済活動の制限を緩和する方針を示している。足元でワクチン接種率が順調に上昇するなか、予想される制限緩和を背景に旅行関連の一角として注目したい。株価は1月18日につけた3565円を安値に6月3日には8500円まで上昇。その後は調整をみせていたものの、52週移動平均線を支持線にリバウンドを強めてきており、6月高値が射程に入る。高値更新からの一段高に期待したい。

2021年9月9日 記

株探ニュース

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