株価指数先物 【週間展望】 ―政策期待による押し目狙いのスタンス
「政策期待による押し目狙いのスタンス」
今週の日経225先物は、米国景気の鈍化懸念に対して、国内の政策期待の高まりが下支え要因となり、強弱感が対立しやすいだろう。先週の米国市場は、新型コロナウイルス変異株(デルタ株)の感染拡大を背景に、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなど金融各社が経済成長率を引き下げる慎重な見通しの公表が相次いだ。週を通じて利益確定の売りが優勢となり、10日のNYダウは支持線として機能していた75日移動平均線を割り込んでいる。
NYダウは今年に入って2度、6月18日と7月19日に75日線を割り込んでいるが、その翌日には大幅反発で同線を上回っており、サポートとして強く機能している。そのため、週明けの動向が注目されることになる。今週は米国では16日に8月の小売売上高、9月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数、17日には9月のミシガン大学消費者態度指数の発表を控えているため、様子見姿勢が強まるようだと、東京市場にも影響を与えることになろう。
一方、国内では、上昇ピッチの速さから先物市場でデルタヘッジに伴う買いが活発だった。週末の9月限先物オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)通過後は買いの勢いが収まると見られていたが、SQ通過後も強い基調が継続。河野行政改革・規制改革担当相が自民党総裁選への出馬を正式表明した10日には、ナイトセッションで一時3万0350円まで上昇幅を広げている。米国株安により終値は2万9940円と下落に転じてしまっているが、12月限は配当分のスプレッド(-190円程度)を考慮した場合、日経平均株価では3万円を上回る水準となるため、9月SQ値3万0085円93銭が支持線として意識されよう。
また、先週の日経平均株価の騰落率が+4.30%の上昇だったのに対して、NYダウは-2.18%、独DAXは-1.09%の下落だった。上昇ピッチの速さから利益確定の売りが出やすい一方で、相対的に日本株の比率を下げていた海外ファンドなどによる比率引き上げを巡る思惑が高まろう。利食いが強まる局面では、日経平均株価の3万円水準での押し目買い意欲は強そうである。なお、SQ通過後の10日の手口においても、ゴールドマン・サックスやクレディスイスなどはややロングのポジションとしている。
9月1週(8月30日-9月3日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週連続で買い越しており、買い越し額は6625億円(前週は3316億円の買い越し)だった。この週の日経平均株価は大幅に上昇。ジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長講演を背景に緩和環境が当面続くとの見方が安心感につながるなか、週末には菅総理が自民党総裁選への不出馬を表明したのをきっかけに買いの勢いが強まった。なお、現物株は海外投資家が3669億円の買い越し(同45億円の売り越し)と3週ぶりの買い越しであり、先物は2955億円の買い越し(同3361億円の買い越し)で2週連続の買い越しだった。
先週のNT倍率は先物中心限月で14.54倍に上昇した。75日線が上値抵抗線として意識されており、週初は米株安の影響によりNT倍率は低下が見込まれる。ただし、政策期待の高まりによる海外勢の日本株比率の修正が期待されるなか、3月以降から続いていたNTショート(日経225先物売り・TOPIX先物買い)の巻き戻しが強まる可能性はありそうだ。なお、VIX指数は20.95に上昇しており、リスクオフが警戒されやすく、スタンスとしては押し目狙いとなろう。
経済スケジュールでは、13日に7-9月期法人企業景気予測調査、米国8月月次財政収支。14日に米国8月消費者物価指数(CPI)。15日に中国8月小売売上高、中国8月鉱工業生産、米国8月鉱工業生産。16日に8月貿易統計などが予定されている。
――プレイバック・マーケット――
●SQ値
1月限 日経225 27774.95 TOPIX 1832.70
2月限 日経225 29718.77 TOPIX 1940.02
3月限 日経225 29282.41 TOPIX 1930.42
4月限 日経225 29909.73 TOPIX 1961.13
5月限 日経225 27748.22 TOPIX 1871.53
6月限 日経225 29046.40 TOPIX 1958.82
7月限 日経225 27726.72 TOPIX 1897.15
8月限 日経225 28093.15 TOPIX 1958.27
9月限 日経225 30085.93 TOPIX 2065.84
◆日経225先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
21/12 9月10日 29810 30220 29730 30160 +360
21/09 9月09日 29920 30260 29900 29990 -140
21/09 9月08日 29910 30250 29590 30130 +230
21/09 9月07日 29920 30200 29830 29900 +150
21/09 9月06日 29120 29770 29110 29750 +590
◇TOPIX先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
21/12 9月10日 2047.0 2075.5 2043.5 2073.0 +26.0
21/09 9月09日 2066.5 2085.1 2060.0 2066.5 -12.0
21/09 9月08日 2063.5 2082.0 2045.8 2078.5 +15.0
21/09 9月07日 2052.5 2085.5 2052.5 2063.5 +18.5
21/09 9月06日 2015.5 2047.5 2014.0 2045.0 +26.5
●シカゴ日経平均 円建て
清算値 前日比
9月10日(12月限) 29935 -225
9月09日(12月限) 29945 +145
9月08日(9月限) 29960 -170
9月07日(9月限) 29965 +65
※前日比は大阪取引所終値比
□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
売り 前週末比 買い 前週末比
09月03日 2503億円 +1594億円 6277億円 +1482億円
08月27日 909億円 -3003億円 4795億円 -1295億円
08月20日 3913億円 -626億円 6090億円 -689億円
08月13日 4539億円 -133億円 6780億円 +575億円
08月06日 4672億円 -516億円 6204億円 -35億円
07月30日 5189億円 -963億円 6239億円 -398億円
07月21日 6153億円 +356億円 6637億円 -334億円
07月16日 5797億円 +3232億円 6972億円 +505億円
07月09日 2564億円 +114億円 6466億円 -2058億円
□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
売り 前日比 買い 前日比
09月08日 9832万株 +798万株 2億8581万株 +1622万株
09月07日 9034万株 -907万株 2億6959万株 +1122万株
09月06日 9942万株 +2444万株 2億5836万株 +4206万株
09月03日 7497万株 +1348万株 2億1629万株 +2546万株
09月02日 6149万株 +100万株 1億9083万株 -2575万株
09月01日 6048万株 +2990万株 2億1658万株 +2207万株
08月31日 3058万株 -232万株 1億9450万株 +736万株
08月30日 3291万株 +279万株 1億8714万株 +226万株
08月27日 3011万株 -1023万株 1億8488万株 -786万株
08月26日 4034万株 +168万株 1億9274万株 +527万株
08月25日 3865万株 -4035万株 1億8746万株 -2538万株
08月24日 7901万株 -3197万株 2億1284万株 -393万株
08月23日 1億1099万株 -2448万株 2億1678万株 +602万株
■日本銀行による指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れ推移(通常ETF分)
10月14日 701億円
10月16日 701億円
10月22日 701億円
10月28日 701億円
10月29日 701億円
10月30日 701億円
11月13日 701億円
11月18日 701億円
12月21日 701億円
12月22日 701億円
12月30日 701億円
1月4日 501億円
1月15日 501億円
1月20日 501億円
1月28日 501億円
2月26日 501億円
3月4日 501億円
3月5日 501億円
3月22日 501億円
3月24日 701億円
3月30日 501億円
4月21日 701億円
6月21日 701億円
株探ニュース