為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、米量的緩和策の年内縮小への期待感は根強い
【今週の概況】
■米長期金利反発でドル売り縮小
今週のドル・円は下げ渋り。週初に110円16銭まで買われたが、9月14日発表された8月消費者物価コア指数(CPI)は前年比+4.0%と上昇率は7月実績を下回ったことから、米連邦準備制度理事会(FRB)は量的緩和策の段階的な縮小を急がないとの見方が浮上し、ドル・円は15日に109円11銭まで下落した。しかしながら、15日発表の9月NY連銀製造業景気指数と16日発表の8月米小売売上高は市場予想を上回っており、米長期金利の反発を受けてリスク回避的なドル売りは縮小した。
17日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時110円08銭まで戻した。この日発表
された9月米ミシガン大消費者信頼感指数速報値は8月実績を上回ったが、市場予想に届かなかったことでドルは一時伸び悩んだ。しかしながら、米長期金利が上昇したことから、リスク回避のドル売りは拡大せず、ドル・円は底堅い値動きとなり、109円97銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:109円11銭-110円16銭。
【来週の見通し】
■ドルは底堅い値動きか、米量的緩和策の年内縮小への期待感は根強い
来週のドル・円は底堅い値動きか。9月21-22日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では、金融政策の現状維持が決定される見通し。FOMC声明で債券買入れの段階的縮小(テーパリング)の重要性が指摘されるとみられているが、足元で発表された米国の経済指標は強弱まちまち。8月小売売上高は予想に反して増加したが、8月の非農業部門雇用者数や8月消費者物価指数などは市場予想を下回っており、米国経済は減速しつつある。インフレ加速の思惑は後退しており、今回のFOMC会合で緩和策縮小の開始時期が公表される可能性は低いとみられる。
ただし、量的緩和策の年内縮小への期待感は根強く、FOMC会合終了後にリスク回避的なドル売り・円買いが大きく広がることはなさそうだ。今後発表される個人消費、雇用、インフレ関連の経済指標が持ち直せば、量的緩和策の段階的な縮小への思惑が再び強まり、ドルをサポートするとみられる。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(21-22日開催予定)
FRBは9月21-22日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で、現行の金融政策を維持することが決定される見込み。量的緩和策の縮小についての方針が提示される可能性はあるが、政策金利見通しについては従来通りと予想される。
【米・9月マークイット製造業/サービス業PMI】(23日発表予定)
23日発表の9月マークイット製造業PMI、同サービス業PMIは、8月実績と差のない数字になると予想されている。製造業は60超の高水準が予想されるが、市場予想を下回ると景気減速への懸念が高まりそうだ。
予想レンジ:108円50銭-111円50銭
《FA》