【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─株高で妙味増す"売り長"銘柄を攻める!
「株高で妙味増す“売り長”銘柄を攻める!」
●株価下落に賭けた売り方が窮地に
株式投資で利益を出すには、有望株に投資して評価益を増やし、それをどこかで確定する。これが一般的だが、投資経験の長い人ならご存じのように、株価が下げることで儲かる方法もある。信用取引を利用して空売りするのだ。
この場合、見込み通りに株価が下げると、保有している株が上昇した時と同様利益になる。
では、現在の東京市場で空売りを行っている投資家の成果の方はどうか。残念ながら期待外れになっていることが多いだろう。東京市場がどんどん水準を高め、下がって欲しい銘柄も上昇に転じているからだ。
つまり、いまの東京市場では、株価の下落に賭ける投資が成功しにくい状況にあるのだ。
実はこんな環境でこそ、非常に成功確率の高い投資のやり方がある。
株価が下げると期待して大量の空売りが入っている銘柄が、売り手の期待や願いを裏切って逆に上昇してしまう、そんなケースが多くなっている。信用の売りを仕掛けた銘柄の株価上昇が続くと、売り方はいずれ買い戻しを迫られ、それが株価をさらに押し上げる踏み上げ相場に発展する。
通常、下げる方に賭ける投資家は、ほとんどが売り専業だ。買いも売りも行う人は少なく、その意味では売りに賭けているともいえる。
それだけに信用取引の空売りについてはよく研究している人が多いのだが、それでも現在のような状況では、やられている人が続出中と見てよい。
「そんなことがどうして分かるんだ?」ということになるだろうが、それは信用取引の売り残、買い残のデータを見ると誰でもすぐに分かる。
●2つの条件で銘柄を絞り込む
そこでいまは、
(1)信用の売り残が買い残を圧倒的に上回っている(売り長)
(2)株価が上昇を続けている
以上の条件を満たす銘柄に投資すれば、成功する確率が高いことになる。たとえ、その銘柄が高値圏にあってもだ。
今回の注目は以上のような観点から、まずは食品・飲料銘柄の中から伊藤園 <2593> 、キッコーマン <2801> 、サッポロホールディングス <2501> だ。信用の売りと買いが拮抗している銘柄ではわらべや日洋ホールディングス <2918> がある。
これらは特にいま株価が上がるような強力な材料がないため、「株価は上がらないだろう」――こう思われて空売りの対象になりやすいのだが、逆に上がってしまうタイプの銘柄だ。
他分野に目を向けると、韓国から中国への展開に力を入れはじめ、成功中のデサント <8114> がある。
パイル(基礎工事用杭)、電柱などに強い三谷セキサン <5273> も地味な事業内容のため、株価は上がらないだろうと思われがちだ。しかし、廃棄物処理にも展開していることを考えると、株価は売り手を裏切る動きが続くと見る。
楽器最大手のヤマハ <7951> も、同様の観点から魅力的だ。幸い、ピアノやギター、電子楽器の需要も戻りつつある。
最後にエス・エム・エス <2175> を。介護、医療業界向け人材紹介サービスに強く、国内だけでなく海外での積極展開ぶりも考慮すると、株価はさらなる高値が見込める。
2021年9月17日 記
株探ニュース