窪田朋一郎氏【日経平均波乱! 3万円大台割れで波動は変わるか】 <相場観特集>

特集
2021年9月21日 18時30分

―中国・恒大集団の債務問題で大揺れの株式市場の先行き―

3連休明けとなった21日の東京株式市場では日経平均が600円を超える急落をみせた。中国の不動産大手・恒大集団の資金繰りが悪化しており、これによる債務不履行問題が世界の株式市場に動揺を与えている。ここからの東京市場の見通しについて、マーケットの先読みに定評がある松井証券の窪田朋一郎氏に意見を聞いた。

●「下値模索の展開を想定、深押しも念頭に」

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

日経平均株価は8月末以降急速に水準を切り上げたが、需給先行でファンダメンタルズと見合った上昇とは言えなかった。そうしたなか、今回の世界的なリスク回避の売りが顕在化し日経平均はフシ目となる3万円大台を割り込んでしまった。既に中国景気の減速に警戒感がくすぶっていたが、不動産市況の下落を背景に不動産大手である恒大集団の資金繰りが悪化、日本円にして33兆円といわれる巨額債務が懸念視されている。

一部には今回の恒大集団のデフォルトリスクが中国版サブプライムショックとなるのではないかという警戒感もあるようだが、今のところ、金融システム不安を引き起こすことには至らないとみている。しかし、不動産市場への投資マネー流入が止まることで、減速気味の中国景気が一段と冷え込むことは避けられない。中国景気の減速感が強まれば、資源価格の急落につながり、新興国の経済や株式市場にもダメージを与える。またグローバル景気の停滞をもたらすことで、欧州や米国、日本など先進国株式市場への影響も尾を引きそうだ。

一方、あすに結果が判明するFOMCにも注目が集まる。これまで、FRBによるテーパリングの年内開始についてマーケットは相応に織り込みつつあったが、今回の中国における恒大集団のリスクがクローズアップされた状況では少々条件が異なる。世界株市場が動揺しているにもかかわらず、テーパリングを11月にもスタートさせるという決断を仮にFRBが示したとすれば、米国株式市場は一段の波乱に見舞われる可能性が高くなる。米国のインフレ懸念は強く、今回そのケースに陥る公算が大きい。

目先リバウンドがあっても買いは続かず、9月下旬から10月相場は下値リスクの方が大きいと判断される。もし、中国政府が恒大集団を救済せずに破綻させ、FRBのテーパリングも年内実施の方向となった場合、世界株へのネガティブな影響は小さくない。世界株安の流れのなかで日経平均は2万8000円台を割りこむような深押しも想定される。こうした局面では積極的な買いも入れにくいが、相対的に医薬品、鉄道、電力などのディフェンシブストックが優位となる。逆に鉄鋼や非鉄は売りのターゲットとなりやすいとみている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)

松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。

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