来週の株式相場に向けて=海外投資家は売り姿勢強めるか
1日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比681円安と急落し、2万9000円ラインを割り込んだ。この急落で、9月3日に菅首相が退陣を表明した後の上昇分は全て吐き出した格好となった。
なかでも、この日目立ったのは任天堂<7974>や村田製作所<6981>、キーエンス<6861>といった日経平均に新規採用された3銘柄の急落だ。先物中心に下落するなか、全体相場に影響が大きい3銘柄を中心に「海外短期筋からの売り仕掛けが入ったのでは」(市場関係者)との見方が出ている。
全体相場の下げの要因としては米国でのインフレ懸念や債務上限問題が取り沙汰されているが、やはり気になるのは「自民党の新総裁に決まった岸田文雄氏の党人事案に改革志向がみられないこと」(同)だ。河野太郎氏などによる改革路線を期待していただけに、海外投資家は一転して売りに回ったとの声も聞かれる。
来週4日からは臨時国会が召集され、首班指名の後、組閣が行われる。そんななか、来月の衆院選を視野に海外投資家がどう動くかが最大のポイントだ。岸田政権発足後の支持率調査も注目されている。
具体的な日経平均の下値メドとして、テクニカルアナリストからは、「8月下旬からの上昇幅の3分の2押しの2万8234円」との見方が出ている。このラインも下回れば、次は2万8000円ラインの攻防となる。
来週は、海外では8日の米9月雇用統計が最大の注目ポイントとなる。もちろん、米債務上限問題を巡る動向からも目が離せない。5日に米9月ISM非製造業景況感指数、6日に米9月ADP雇用統計が発表される。
国内では、8日の安川電機<6506>の決算発表が注目される。同社の決算は、今月下旬から本格化する中間決算の前哨戦となる。また、4日にはキユーピー<2809>や不二越<6474>、6日に壱番屋<7630>、7日にセブン&アイ・ホールディングス<3382>、8日にOSG<6136>などの決算が発表される。同じく8日には日本エコシステム<9249>が東証2部に新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは2万8200~2万9100円。(岡里英幸)