年々高くなるスマホ端末、破損・紛失に備える専用保険はお得!?
清水香の「それって常識? 人生100年マネーの作り方-第38回
FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表
1968年東京生まれ。中央大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらファイナンシャルプランナー(FP)業務を開始。2001年に独立後、翌年に生活設計塾クルー取締役に就任。2019年よりOfficeShimizu代表。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。一般生活者向けの相談業務のほか執筆、企業・自治体・生活協同組合等での講演活動なども幅広く展開、テレビ出演も多数。 財務省の地震保険制度に関する委員を歴任、現在「地震保険制度等研究会」委員。日本災害復興学会会員。
前回記事「20年前から4.4倍に負担増、携帯料金は乗り換えで4分の1に減らせる!」を読む
携帯電話に関わる料金は、前回に取り上げた通信費のみならず、端末の負担も増しています。スマートフォンの高機能化が進み、人気の米アップルのiPhoneはとりわけ高額になっています。
今年9月発売のiPhone13 Proでは、税込みで12万2800円~18万2800円、
同時発売のiPhone13 Pro Maxでは、同13万4800円~19万4800万円、
――になります。
肌身離さず持ち歩くスマホは、落下や水没などの破損リスクが高く、高額機器は修理費も張ります。今や生活インフラになったスマホは、壊れたら復旧させないという選択肢はないと言っても過言ではありません。
もしもの事態に備えて、端末メーカーや携帯キャリアは「有償サポート」を提供し、また月額500円以下の負担でスマホ修理費をカバーできる保険も出ています。
そこで今回、最新機種iPhone13 Proを例に、修理費のサポートについて、アップル、携帯キャリア、そして保険を利用した場合について、保証(補償)内容や費用、そして注意点について見ていきます。
「AppleCare+」の購入で修理費負担を軽減する
まず、iPhone13 Proを米アップル直営の「アップルストア」で購入した場合です。
修理費について確認すると、同ストアまたはApple正規サービスプロバイダで修理する場合は以下の通りになります。
■ iPhone13 Proの修理費
トラブル内容 | 修理費 |
画面・背面ガラス損傷 | 3万6680円 |
バッテリー交換 | 8140円 |
過失・事故等の損傷 | 7万980円 |
iPhoneには、純正品専用で1年間限定保証の「Apple製品1年限定保証」があります。最長90日間の無償サポートと、保証期間内に製品が自然故障したときは、無償修理か新品交換してもらえます。
しかし過失や事故での損傷は、修理費全額を自己負担しなくてはなりません。ここで修理費の負担を軽減できるのが、有償サポート「AppleCare+」です。以下のように2つのプランがあります。
1つは、損傷修理のみの「AppleCare+ for iPhone」と、
もう1つは、盗難・紛失までカバーできる「「AppleCare+盗難・紛失プラン」
――で、いずれも1年間に2回まで修理費が軽減されます。
アップルストア等での修理に限られますが、
画面ガラス修理は、3万6680円から3700円と約10分の1、
それ以外の修理は7万円超から1万2900円と大幅に軽減されます。
バッテリー容量が本来の80%未満となったとき、無償交換も受けられます。修理を待てないときは、新品代替機を迅速に手配してくれるエクスプレスサービスもあります。
保証期間は2年間で、保証料は、
破損のみが一括前払いで2万4800円(月額1250円)、
盗難・紛失保証ありは2万6800円(同1350円)
――となかなかの高価格。サポートを受けるには機器の新規購入から30日以内に購入が必要で、それを過ぎると購入できません。
■アップルの保証プランの比較(iPhone13Proの例)
保証プラン | Apple製品1年限定保証 | AppleCare+ for iPhone | AppleCare+盗難・紛失プラン |
保証内容 | ハードウエア製品限定保証 90日間の無償サポート | ハードウエア製品限定保証 無償サポート 修理代が以下の金額になる(年2回まで) ・画面・背面ガラス損傷 3700円 ・過失・事故等の損傷 1万2900円 ・バッテリー交換 0円 | ハードウエア製品限定保証 無償サポート 修理代が以下の金額になる(年2回まで) ・画面・背面ガラス損傷 3700円 ・過失・事故等の損傷 1万2900円 ・盗難・紛失 1万2900円 ・バッテリー交換 0円 |
保証期間 | 購入後1年間 | 2年間 | 2年間 |
保証料 | 無償 | 2万4800円(一括) | 2万6800円(一括) |
備考 | ―― | 新規購入30日以内に加入手続きが必要 | 同左 |
期間満了後は保証延長が可能です。アップルのウェブサイトによれば、AppleCare+ for iPhoneを一括前払いで購入した場合、保証期間満了から30日以内に手続きをすれば、解約しない限り、月更新で保証を継続できるとあります。
ただし、自分のiPhoneが延長保証の対象になるかは、同社のウェブサイトで個々に確認する必要があります。
携帯キャリアの有償サポートは、アップル+独自保証
続いて、携帯キャリアが提供しているiPhoneの有償サポートについて見ていきましょう。
KDDI<9433>とソフトバンク<9434>では、AppleCare+に独自サービスを追加したサポートを展開しています。
KDDIの「故障紛失サポート with AppleCare Services」は、AppleCare+に加え、同社独自のエクスプレスサービス「紛失盗難補償お届けサービス」をセットにしています。
盗難や紛失等のトラブル時、同一機種・同一色の代替機が最短当日中に届きます。自己負担はAppleCare+盗難・紛失プランと同じ1万2900円。年2回までサービスを受けられ、補償料は月額1309円です(いずれも税込み)。
ソフトバンクの「あんしん保証パック with AppleCare Services」も、KDDIのサービスとほぼ同様、同価格です。修理依頼やサポートを受ける時の窓口は、いずれも携帯通信会社です。
また楽天モバイルの「故障紛失保証 with AppleCare Services」は、AppleCare+と同様のサポートで、アップルストア等での修理を含めたサポートを、月額1309円の保証料で提供しています。
上記3社の扱う有償サポートでは、アップルのAppleCare+盗難・紛失プランとほぼ同様か、手厚いサポートを若干安く受けられます。
ただし、ウェブサイトでは保証期間が明記されていないため、サービスの購入時にその旨確認をお勧めします。
NTT<9432>傘下のNTTドコモでは、アップルと同価格で、AppleCare+for iPhone(2年間)に加えて独自の「ケータイ補償サービス」を提供しています。
修理・交換費用が1年間無料、2年目以降の自己負担額が5500円となります。修理不能の場合、1年に2回までは1万2100円で新たな機器に交換してもらえます。
ただし、新規購入から14日までに手続きが必要です。期限は無期限、補償料は月額1100円です(いずれも税込み)。
そのほか、携帯キャリアの扱う有償サポートでは、データ復旧サービスなどAppleCare+for iPhoneより手厚い場合があります。
大手キャリアの店舗は各地に多数あり、気軽に立ち寄り説明が受けられる点も人によってはメリットかもしれません。
保険料は月200円から「スマホ向け保険」を利用する
最後に、保険会社のスマホ向け保険で補償を受ける方法もあります。スマホ保険の場合、アップルや携帯キャリアが提供するものより柔軟性があります。
たとえば加入時期。アップルや携帯キャリアではiPhone購入とほぼ同時に入ることが必要です。また修理についても、アップルストアや指定の事業者、あるいは携帯キャリアを通じて行います。
さらに、スマホ向け保険は、対象となる機器なら、おおむねいつでも加入できます。一方、携帯キャリアのサービスでは他社のサービスに乗り換えると、それまでのサポートは停止するのが原則です。
保険料は月1000円以下で、470円と低価格のものもあります。470円なら2年間の負担は1万1280円で済みます。
修理は、アップルストア等の正規店以外での行っても保険金が支払われ、保険金はネットで請求できます。また携帯通信会社が変わっても補償を継続できます。
以下、3つの保険を見てみます。