大谷正之氏【米株絶好調も鈍い日経平均、個別株をどう攻める】(1) <相場観特集>
―最高値圏走るNYダウ、ナスダック指数との差は埋まるか―
週明け8日の東京株式市場は、朝方は買いが優勢で日経平均株価は高く始まったが、その後は上値の重い展開となりマイナス圏に沈んだ。下値では押し目買いが入り下げ幅も限定的ではあったが、絶好調の米国株と比較して上値の重さが目立つ。果たして日経平均は米国株に追随して今後上値追いが見込めるのか、それとも冴えない地合いが続くのか。先読みに定評のある市場関係者2人に今後の相場見通しと個別株戦略について意見を聞いた。
●「決算は堅調で3万1000円目指す展開も」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
来週で日本企業の決算発表はほぼ出揃う。これまでのところ主力企業を中心に堅調な決算が発表されており、この決算発表が相場を下支えする格好となり、日本市場も底堅い展開が予想される。
足もとで、国内機関投資家はあまり動いていないが、決算発表が一巡するとともに少しずつ動き出すだろう。特に、今月10日の特別国会の召集を経て、岸田政権の経済対策も具体化してくるとみられ、市場の期待感も膨らみそうだ。
海外では今後、米国の債務上限問題が蒸し返されたり、インフレ懸念が警戒されたりすることも予想される。しかし、米国企業の業績は好調で景気回復も軌道に乗っていることから、米国市場が大きく崩れることはないだろう。こうしたなか、海外投資家が出遅れ感の強い日本株を見直す展開も期待できると思う。
日本株は、この先、年末年始高に向かう展開が見込めるとみている。日経平均株価は年内3万1000円を目指してじわじわと上値を切り上げる展開も予想される。下値は2万9000円前後だろう。
個別では、強い需要が続く半導体関連株はなお狙い目だろう。台湾積体電路製造(TSMC)ADR<TSM>の日本での新工場建設にも絡み、半導体関連の設備投資需要が見込める。東京エレクトロン <8035> や信越化学工業 <4063> 、SUMCO <3436> などに注目できる。
また、政策関連では経済再開に絡む空運や陸運、消費・レジャー関連株なども物色されそうだ。JR東日本 <9020> やJR東海 <9022> 、日本航空 <9201> やANAホールディングス <9202> 、それにエイチ・アイ・エス <9603> やラウンドワン <4680> などに期待したい。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
株探ニュース