【村瀬智一が斬る!深層マーケット】政策関連のテーマ株、値動きの強い中小型株に資金集中へ

市況
2021年11月20日 8時00分

「政策関連のテーマ株、値動きの強い中小型株に資金集中へ」

●日経平均は膠着感強まるも、個人主体の中小型株物色は活況

今週の日経平均株価は膠着感の強い相場展開だった。週初は買い先行で始まり、11月16日には一時2万9960円と3万円の大台回復に迫る場面も見られた。初のオンライン開催となった米中首脳会談にサプライズ感はなく、国内では決算発表が一巡したこともあって手掛かり材料に欠ける面もあった。その中で米半導体企業や小売企業の決算を受けた米国市場の動向に影響を受けたほか、中国大手ネット企業の急落による香港市場の弱い値動きなどに振らされる展開となった。もっとも、週末には政府の大規模な経済対策の発表を控えていたこともあり、売りを仕掛けてくる動きも限られた。

東京エレクトロン<8035>を筆頭に半導体株が総じて堅調だったほか、個人投資家による中小型株物色を背景に、グローバルウェイ<3936>やFRONTEO<2158>、エスユーエス<6554>、リビン・テクノロジーズ<4445>などに値幅取り狙いの資金が集まっていた。そのほか、政策期待を手掛かりとして防衛関連や次世代電池といったテーマ株への物色も見られた。

来週の日経平均株価は引き続き2万9500円~3万円のレンジ推移を中心としつつ、節目の3万円にトライする展開が期待される。経済対策については、発表によっていったんは材料出尽くしとなることも想定されるものの、改めて政策に絡んだ銘柄を物色する動きは強まるだろう。また、米国では連邦準備制度理事(FRB)のパウエル議長再任の行方もいまだ不透明だが、バイデン米大統領は週末には人事をまとめる予定であり、今後は不透明感も解消されていくだろう。ただし、来週は23日が日本の祝日となるほか、米国は25日がサンクスギビングの祝日で休場となる。その翌日はブラックフライデーで 年末商戦に入る。サプライチェーン問題による影響は警戒されるものの、年末商戦の好調を確認する形で次第に年末高を意識したセンチメントに向かうとみている。

商いこそ膨らみづらいだろうが、政策に関連したテーマ物色のほか、個人主体による中小型株物色の活況継続が見込まれる。これまでの市場の推移を見ても、調整が続いている銘柄に対する見直しの動きはなく、反対に上昇基調の継続している銘柄は資金回転が効いており、資金流入が続いている印象だ。値動きの強い中小型株での値幅取り狙いの動きはしばらく続きそうである。

●来週の活躍期待「注目5銘柄」

◆日本電解<5759> [東証M]

プリント配線板用や半導体パッケージ用のほか、リチウムイオン電池用の電解銅箔などを手掛ける。世界的な半導体の供給不足に加え、サプライチェーン問題を背景とした自動車メーカー減産の影響などにより、11月10日に2022年3月期の連結営業利益予想を期初計画の13億0400万円(前期比147.5%増)から10億5100万円(同99.4%増)に下方修正した。これを受けて足元の株価は調整を見せてはいるが、25日移動平均線を支持線に底堅さがうかがえる。半導体や次世代電池といった成長分野のテーマ性も有することから、押し目買い意欲は強いだろう。

◆日本電気硝子<5214>

11月18日に開発を進めていた全固体Naイオン二次電池について、新たに結晶化ガラスを用いた負極材の開発を行い、オール酸化物全固体Naイオン二次電池の駆動に世界で初めて成功したと発表。希少金属元素を全く必要とせず、現行のリチウムイオン二次電池に匹敵する高い実用性を有するということで、株価はこれにストレートに反応。19年5月以来の3000円台を回復した。急ピッチの上昇に対する反動は想定されるものの、17年11月の戻り高値4920円をピークとした調整トレンドからの転換が鮮明となっており、一段のリバウンドに期待したい。

◆ユークス<4334> [JQ]

米プロレス団体から開発受託した、プロレスゲームの開発が順調に進捗。ロールプレイングゲーム「テイルズオブ」シリーズの最新作「Tales of ARISE」が21年9月9日に発売されるなど、複数タイトルの受託ソフトの開発が順調に進行している。また、全世界で人気を誇るDCコミックスのキャラクターをテーマにしたオンライン・トレーディングカードゲームを22年秋にリリースする予定。最近ではメタバース関連銘柄の一角として動意を見せている。直近の急伸で過熱感は否めないが、長期的なトレンドでは17年1月高値1527円から続く調整で上値抵抗線として機能していた24カ月移動平均線を今回の上昇で上放れ、トレンド転換を確認したばかりの段階にある。

◆ブシロード<7803> [東証M]

11月12日に22年6月期の連結営業利益予想を期初計画の13億円から22億円へと上方修正した。前会計年度より決算期を7月から6月に変更しており、2021年6月期実績は3億4400万円。同時に発表した第1四半期の営業損益は13億2100万円の黒字(前年同期は8200万円の赤字)となり、期初の通期計画を超過達成していた。デジタルIP事業のなかでも利益率の高いTCG(トレーディングカードゲーム)部門とMD(マーチャンダイジング)部門が好調に推移。経済活動が正常化に向かう中、今後はライブIP事業で音楽部門・スポーツ部門ともに大型イベントが増加すると見られるため成長期待は高まろう。

◆サイバネットシステム<4312>

6月25日に21年12月期の連結営業利益を従来予想の27億円から24億7200万円に下方修正したが、アジアを中心に海外事業が好調に推移していることから11月4日に再度、期初計画の27億円に上方修正した。VRソリューション「Ansys VRXPERIENCE(アンシス・ブイアールエクスペリエンス)」を手掛けており、メタバース関連の一角として足元では思惑買いが強まっている。急ピッチの上昇に対する反動は想定されるが、1月6日につけた1035円を高値に調整が続くなか、足元でようやく13週、26週移動平均線を突破し、トレンドが好転。1月高値を意識したリバウンドに期待したいところである。

2021年11月19日 記

株探ニュース

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