田部井美彦氏【不透明な相場環境、年末年始に視界は変わるか】(1) <相場観特集>
―オミクロン株、インフレ懸念など不安材料をどう見る―
週明け6日の東京株式市場は日経平均株価が2万8000円台を下回り不安定な動きに終始した。寄り付きは小幅プラスでスタートしたが、その後はすぐにマイナス圏に沈み、一時は300円以上安い場面もあったが、売り一巡後は下げ渋った。依然として新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大に対する警戒など先行き不透明感が強い。年末から年始にかけて全体相場はどう動くのか、第一線で活躍する市場関係者2人に見通しを聞いた。
●「目先様子見姿勢も新年にかけて反発基調に」
田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)
目先の相場は新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大を巡る状況や、14~15日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)がポイントとなる。
FOMCではテーパリング(量的緩和の縮小)加速が打ち出されるとの見方が強まっている。しかし、金融政策の方向性が見えてくれば、相場はいったんは値を戻す展開が予想される。また、新型コロナのオミクロン株についてはまだ不透明部分が大きいものの、新型コロナ感染者が初めて確認された2020年初めのワクチンも薬剤も何も無かった時期とは違う。米金融政策とオミクロン株に対する不安感は、今月中旬を境に徐々に落ち着き相場も新年の1~2月にかけて反発に転じることも期待できるだろう。
特に、一時懸念された半導体不足は緩和傾向にあり自動車生産も戻り始めている。オミクロン株に対する不安も後退するようなら、個人消費も回復が見込めるだろう。こうしたなか、日経平均株価は来年の1~2月にかけ今年9月高値を更新し3万1000円を目指す展開が期待できるとみている。
個別銘柄では、半導体不足の緩和に伴う生産の回復が見込める自動車株でトヨタ自動車 <7203> やデンソー <6902> などが注目できるだろう。また、パナソニック <6752> は、米ソフトウェア大手、ブルーヨンダーを買収しており、工場自動化などにも絡むデジタルトランスフォーメーション(DX)関連株として再評価余地がある。更に、年末商戦への期待に加え巣ごもり需要も意識し、ゲーム関連のソニーグループ <6758> やコナミホールディングス <9766> もマークしたい。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。
株探ニュース