明日の株式相場に向けて=目先底入れムード、逆襲高狙える銘柄は
きょう(7日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比528円高の2万8455円と大幅反発。今週は10日にメジャーSQ算出を控えていることでボラタイルな地合いが想定されたが、きょうは先物主導で一気に買い戻しが進んだ。きっかけとなったのは中国人民銀行による預金準備率の引き下げ。株式市場の見地からはポジティブな動きだが、米国に対する当てつけ的な景気刺激策で、コモディティ価格の上昇などインフレ懸念を助長させるワンマンプレーにも見える。中期的にみれば人民元安を背景に米中摩擦の先鋭化にもつながるが、とりあえずきょうはこれがトレンド転換の強力な足掛かりとなった。
踏み上げ的なショートカバーで指数は急反騰したが、最初は緩やかな流れで始まり次第に奔流と化す、これまで何度も繰り返されてきた光景ではある。もっともこの一連の流れはほぼAI・アルゴリズムに支配されている。鼓動の聞こえない無機質な戻り相場である。引け際に日経平均が一瞬で140円ほど上げ幅を縮小したが、これもその高速取引の影響を如実に示している。引け際の日経平均のしぼみ方が、ファーストリテイリング<9983>のそれと一致している。ファストリの値動きが日経平均の縮図となっているのは、いうまでもなくインデックス売買の影響である。
とはいってもこのタイミングで、全体指数が大陽線で切り返した意義は大きい。あすはSQ前の魔の水曜日にあたり不安は残るが、常識的にはきょうのリバウンドで目先は相場の底が入った形といえ、個別株も攻めの姿勢に転じやすくなった。慎重さは必要だが、攻めやすい銘柄に目星を付けておくところだ。
投資作戦としては、まず業績面の実態の伴う銘柄で相対的に出遅れているものに照準を合わせたい。ノムラシステムコーポレーション<3940>は DX関連の出遅れ。3度の株式分割による効果もあるが250円近辺の時価は値ごろ感が際立つ。業績増額含みで、デジタル人材育成支援にも乗り出すなど時流に乗るだけに見直し買い余地がありそうだ。同じくDX関連ではクロス・マーケティンググループ<3675>も注目。11月中旬に鮮烈な上げ足をみせ、1330円の上場来高値をつけた後に売り崩された形になったが、25日移動平均線をサポートラインに切り返しのタイミングをうかがう。同社は東証の市場改革で、いち早く最上位市場である「プライム市場」を目指すことを表明し、その準備に余念がない。
また、半導体関連株の中小型株も仕切り直しに期待したいが、その中でチャートが崩れていない山一電機<6941>は要マーク。半導体検査用ソケットは世界的な生産設備増強の恩恵がこれから本格化しそうで、11月22日の高値2400円をクリアして新値圏浮上が有力視される。半導体検査関連ではプローブカードで世界屈指の日本マイクロニクス<6871>もチャートが崩れておらず、リスクオン相場転換となれば見逃せない存在。インカムゲインでも注目されやすく、今12月期は年58円配当を実施する計画だ。
一方、銅箔を貼り付けた板の表面や裏面などに回路を設け半導体を載せ、それらを回路や配線でつなぐのがプリント配線板であり、当然ながら半導体需要と連動する。そのプリント配線板メーカーで主力の試作品用から量産品対応に業容を広げているキョウデン<6881>も面白い。全体乱調相場のなかでバランスを維持し、時価は5日・25日移動平均線を足場に上値追いに虎視眈々だ。
もうひとつ旬な話題としては、あす8日に予定されているロシアの宇宙船ソユーズの打ち上げ。ZOZO<3092>の創業者である前澤友作氏も乗船するが、日本の民間人が国際宇宙ステーションに滞在したことは過去になく、国内外で耳目を集めそうだ。宇宙関連事業に積極的に経営資源を注ぐアイネット<9600>が注目されるほか、スカパーJSATホールディングス<9412>、コア<2359>、セック<3741>、INCLUSIVE<7078>などが関連銘柄となる。
あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に7~9月期GDP2次速報が内閣府から、10月の国際収支が財務省からそれぞれ開示される。午後には内閣府から11月の景気ウォッチャー調査も発表される。海外ではインド中銀が政策金利を発表するほか、ポーランド中銀、ブラジル中銀なども金融政策を開示する。なお、フィリピン市場は休場となる。(銀)
最終更新日:2021年12月07日 18時18分