明日の株式相場に向けて=ジェットコースター相場の先に見えるもの

市況
2021年12月9日 17時00分

きょう(9日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比135円安の2万8725円と反落。下げ幅こそ小さいが、地味に安値引けとなった。日経平均は直近2営業日で930円あまりの上昇をみせていたこともあり、きょうは急反落に転じるようなことがなければ、下げた方がリズム的には良い。あす日本時間夜10時半に発表が予定される11月の米CPIへの注目度が高いが、「今に至ってはあまり波乱要素がない」(ネット証券アナリスト)との見方が支配的だ。なぜなら、CPI発表を経て14~15日の日程で行われるFOMCについては、「既にテーパリングの前倒し(1回当たりの緩和縮小金額の上乗せ)及び利上げについても6月開始の線で織り込みが進んでいる」(同)状態で、これより更にドラスチックにタカ派的な内容に偏らない限りマーケットは驚かない。

もっともきょうは売買代金も急減し、早くもクリスマス休暇の気配が漂い始めている。日経平均株価は11月26日を境に急勾配のジェットコースターに乗せられたがごとく一気に水準を切り下げたが、12月初旬で下値に届いた形となりその後は反転上昇に転じた。しかし、2万9000円台手前で減速し、今はいったん地面と平行になったような状態。束の間の静寂といえる。戻りとしては5合目だが、ここからまた下り坂が待っているとは言わないまでも、上を目指すには“オミクロン株に対する懸念後退”という半ば想定されたポジティブ材料だけでは足らず、新しい材料が必要だ。

国内の政策にそれを求めたいのはヤマヤマなれども、残念ながら岸田政権は増税内閣のイメージが先行してしまい、成長戦略として打ち出している政策をマーケットが前向きに株価材料として反応しにくいムードが醸成されてしまっている。金融所得課税の見直しについては議論のタイミングを後ろにずらしたが、検討項目であることには変わりなく、やる気満々だ。間髪を入れず住宅ローン減税見直しについてのアドバルーンを上げるあたり、財務省に完全に牛耳られているイメージをマーケットに与えてしまっている。

海外投資家からすれば、日本株市場は国内にアドバンテージの要素がない市場に見られがちである。マーケット関係者からは「米国をはじめ中国や欧州など海外からの好材料のリリースを待っている状況で、この年末年始はそれほど期待できる相場環境ではない」(中堅証券ストラテジスト)という声もある。

その海外投資家も14~15日の日程で行われるFOMCを通過したあたりでクリスマス休暇に入るところが多く、ボリューム的にも相場の活力は低下する。こうなると新興市場の出番到来となるが、前日にも触れたが、今年は空前の新規公開ラッシュでこちらに関心が向かいやすい。「来春に予定される東証の市場改革の影響で、新規公開を考えている企業にとっては上場基準がはっきりつかみ切れないことから、駆け込みで年末に集中した」(ネット証券アナリスト)という。既上場企業は新市場の選択申請を年内に済ませ、これを受けて来年1月には選択結果が東証ウェブサイトにおいて公表される見通し。これを経て来年4月4日の移行となるが、新規公開組はこれとカチ合わないようにしなければならないという事情があった。

IPOラッシュ時にいつも言われるワードに“玉石混交”というのがあるが、とりわけ今回はセカンダリーで明確に色分けされる可能性がある。公募価格割れも相次ぐ代わりに、人気銘柄へ資金が集中しやすく、そうした選ばれし企業の株価に投資家の関心も向かう可能性が高い。12月上場する33社のなかで、下馬評で高評価を受けているものでは、あす10日に上場するフレクト<4414>がある。クラウドを使ったDX支援、SaaS型モビリティー業務の最適化クラウドサービスを武器に、中期成長性の高さを売り物としている。33枚ある手札のなかで、早くも2枚目でハートのエースを切るような感もあるが、同社株の動向はマザーズ指数には直接反映されないが、年末年始の新興市場を占ううえでそれなりに大きな意味を持っている。

あすは、株価指数先物オプション12月物のSQ算出日にあたる。このほか、11月の企業物価指数、3カ月物国庫短期証券の入札などが予定されている。また、東証マザーズ市場にフレクトが新規上場する。海外では11月の米消費者物価指数(CPI)、11月の米財政収支、12月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)など。なお、タイ市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2021年12月09日 18時00分

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