鈴木英之氏【年末年始の株高はあるか、上昇相場へのポイントは】 <相場観特集>
―米S&P500種は最高値更新、オミクロン株への警戒感は後退―
13日の東京市場は日経平均株価が前週末に比べ202円高の2万8640円と3日ぶりに反発した。前週末10日の米株式市場でNYダウは上昇し、S&P500種は最高値を更新した。新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」に対する過度な警戒感が後退するなか、株式市場には明るさも見え始めている。今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が注目されるが、市場には年末相場に向けた期待も膨らむ。今後の年末・年始相場の見方について、SBI証券の鈴木英之投資情報部長に聞いた。
●「3万円に向けた掉尾の一振に期待も」
鈴木英之氏(SBI証券 投資情報部長)
足もとの相場は今後、不透明要因が徐々に取り除かれていくとともに上値を試す展開が見込めるとみている。今月半ば以降は、掉尾の一振も期待できるのではないか。
新型コロナウイルス変異株の「オミクロン株」に対しては、なお分からない部分は多いが重症化はしにくいとも伝えられている。少なくとも、日本では足もとの新型コロナ感染者数は減少しており、来年にかけて経済再開に向けた動きは見込めるだろう。
今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されているが、テーパリング(量的緩和の縮小)終了前倒しの動きを相場は織り込んできている。タカ派色を強めているパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の姿勢は気になるものの、FOMCが一巡すれば、不透明要因も薄れ年末年始高は期待できると思う。
こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均株価のレンジは2万8000~3万円を予想している。2022年の年間では年末に3万3000円前後を見込んでおり、今年の年末年始の相場では3万円を意識する強含みの展開も期待できると思う。日本企業の業績は堅調なほか、1株当たり純資産(BPS)が積み上がっていることを反映する格好で、相場は上昇に向かいそうだ。
個別銘柄では、東京エレクトロン <8035> やアドバンテスト <6857> といった半導体製造装置関連株は、半導体産業育成の国策にも乗りなお注目できるだろう。また、グリー <3632> やCRI・ミドルウェア <3698> [東証M]などといったメタバース関連株に対する人気は続きそうだ。12月は月末の配当などの権利取りの動きにも期待したい。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資情報部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。
株探ニュース