来週の株式相場に向けて=21年最後のイベント「IPOラッシュ」
今年の株式市場も残すところあと2週間。年末相場の掉尾の一振が期待される時期だが、17日の日経平均株価は前日比500円超安で2万8500円台に逆戻り。2万9000円台回復は1日で終わった。米国のテーパリング(量的緩和縮小)の加速に関しては「過剰流動性で上昇してきたハイテク株には逆風」(アナリスト)となるだけに、当面はなお上値の重い展開も予想される。
年末に向けて上値は限られる可能性が強まっており、NTT<9432>やKDDI<9433>といったディフェンシブ系銘柄が見直されていることがいまの地合いを象徴している。来週以降、海外投資家はクリスマス休暇に入り、市場参加者も限られそうだ。
そんななか、21年の最後となるイベントがIPOラッシュだ。来週は24社もの新規上場が登場する。20日は3社、21日は4社、22日は6社、23日は4社、24日は7社が新規上場する。23日に予定されていたZEALSは中止を決定した。これだけのIPOが1週間に集中することは近年ない。東証マザーズ指数は20年7月以来の水準に下落しているが、「需給悪化要因になるIPOラッシュをどうこなすか」(市場関係者)を警戒する声は少なくない。
来週登場で資金吸収額が100億円近辺からそれ以上なのは、21日の湖北工業<6524>や22日のリニューアブル・ジャパン<9522>、Finatextホールディングス<4419>、23日のエクサウィザーズ<4259>といった銘柄だ。逆に、資金吸収額が10億円台以下の銘柄は、20日のHYUGA PRIMARY CARE<7133>や21日のラバブルマーケティンググループ<9254>、22日のサクシード<9256>、23日のハイブリッドテクノロジーズ<4260>、24日のエフ・コード<9211>などだ。IT系では20日のJDSC<4418>やグローバルセキュリティエキスパート<4417>、22日の網屋<4258>なども注目されている。
来週は、21日に米7~9月期経常収支が発表され、24日は欧米市場がクリスマスで休場となる。国内では24日に11月消費者物価が発表され、ニトリホールディングス<9843>の決算も予定されている。来週の日経平均株価の予想レンジは2万8200~2万9100円。(岡里英幸)