「AR/MR」に膨らむ新成長期待感、メタバース絡みでも注目の特選7銘柄 <株探トップ特集>

特集
2021年12月22日 19時30分

―米アップルにARヘッドセットをリリースの思惑、ゲームやビジネス用途を開拓もー

スマートフォン「iPhone」のメーカーであり、史上初の株式時価総額3兆ドル(約340兆円)が間近に迫っている米アップル<AAPL>。今、同社の動向に改めて注目が集まっている。我々の生活、コミュニケーション、そしてビジネスに新しい広がりをもたらす新デバイスの登場可能性が高まっているのだ。今回はその新デバイスをきっかけに関心を集めることが期待されるテーマである「AR/ MR(拡張現実・複合現実)」にスポットライトを当てた。

●11月に公表された特許が新展開を示唆

これまで長らく「最先端」や「革新」の象徴とされてきたアップルだが、同社に対する期待値が高いだけに、近年は新規に発表されるデバイスに対して、各所で「新たな面白みに欠ける」との評価を受けることも増している。しかし、ここにきて魅力的なイマジネーションを改めて発揮してくるとの期待が急速に高まっている。

ここで注目したいのは、アップルが申請し、11月に公表された「CONTROLLING DISPLAYS」というタイトルの特許だ。これは、一言で表現すれば、別デバイスを用いて画面を仮想的に広げる技術だと言える。特許の内容を簡単に説明すると、実在するディスプレーをスマートフォンのような別デバイスを通して見ることで、画面を仮想的に広げるのだ。この別デバイスは、言うまでもなくスマートフォンに限らず、ヘッドマウントディスプレーなどのウェアラブルデバイスでも代替することが可能だ。個人投資家にとっては今や当たり前の光景かもしれないが、パソコンのディスプレーを複数設置して活用することは、日本企業のオフィスではあまり多くはみられない光景だ。また、デスクサイズ自体も小さいことが多く、巨大なディスプレーの利用もなじまない。そうした中、ディスプレー画面を仮想的に広げることが実現すれば、更なる効率化をもたらしてくれる可能性が出てくるだろう。

●アナリストがアップルの新製品発表を予測

ちなみに、アップルに詳しいアナリストとして著名なミンチー・クオ氏は、同社がARヘッドセットをリリースするとの予測を公表している。具体的には、2022年末に発売となる見立てを同氏は持っているようだ。更に、あくまで予測の一つだが、同製品は「ゲーミング」「メディア消費」「コミュニケーション」の3機能に重点を置いた製品になるとみられているようだ。しかし、多少の誤差があろうとも、最も身近な領域での活用から入り、ビジネスの世界に取り込まれるのにそれほど長い時間は要さないだろう。初号機でどの程度までの世界が実現できるのかについては、アップルからの具体的な発表があるかどうか次第となる。

さて、ARそしてその進化系と言っても過言ではないMRには世界に名だたる企業のGAFA(グーグル持ち株会社のアルファベットC<GOOG>、アマゾン<AMZN>、メタ・プラットフォームズ<FB>(旧フェイスブック)、アップル)も注目していることは明白だ。ちなみに、マイクロソフト<MSFT>も早い段階からMRには注目しており、既に「HoloLens」というホログラフィックデバイスを展開している。加えてARやMRは、単体でも大きな成長可能性を秘めているが、ここにきて株式市場でも期待されるテーマの一つとなっている「メタバース」の存在も相まって、更に注目度を増しつつある。

そこで今回は、AR/MR関連の銘柄を中心に注目7銘柄を選定した。なお、AR/MRとの将来的な結びつきなども考慮して、メタバース関連も一部含めている。

●セックやYEデジタル、PBシステム、メタリアルなど注目

セック <3741> ~ロボットソフトウェア技術や人工知能(AI)、屋内自律移動ロボットソフトウェア、MR技術を活用した製品開発を行っている。同社は17年より宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同研究を行っており、大規模、高精細な3Dモデルをスケーラブルにヘッドマウントディスプレーに投影するための基礎技術を開発している。

YE DIGITAL <2354> [東証2]~18年2月にマイクロソフトのMicrosoft Mixed Reality パートナープログラムにおけるSIファストトラック パートナーとして国内で初めて認定を受けている。同プログラムはMR技術に関する優れた開発スキルや運用ノウハウを保有し、顧客へソリューションを展開する企業に対してマイクロソフトが提供する認定制度である。

ISID <4812> ~21年2月に国内電通グループ5社とXRテクノロジー(VR・AR・MRなど)の活用に向け、共創型のグループ横断組織「XRX STUDIO(エックスアールエックス スタジオ)」を発足させている。単なる体験づくりにとどまることなく、ブランディングや新たなビジネスモデルの開発まで、企業のあらゆる課題を解決するソリューションを提供する。

ピー・ビーシステムズ <4447> [福証Q]~メタバース関連。22年1月1日付でメタバース推進部を設置すると発表。ヘッドセットを着用せずとも高いクオリティーの仮想空間を複数人で同時体験できる、360度3DCG及び実写3Dコンテンツの投影装置「4DOHシリーズ」の設計者が同部長に就任。有力なパートナー企業との協業体制確立のもと、仮想空間構築用のクラウド基盤設計からVR(仮想現実)コンテンツ制作、システム運用までを一貫してサポートする新サービスの立ち上げを行う。

メタリアル <6182> [東証M]~メタバース関連。21年9月に子会社MATRIXは、旅行や音楽など、ゲーム・アニメではなくリアルの生活・娯楽に特化したVR サービスを提供する「OASIS」の有料サービスを開始した。サービス開始時点においては、VR trip(旅行)、VR music(音楽)、VR セラピー、VR party(カラオケ)の4つのサービスを提供し、随時サービスの種類を拡大する計画である。

エスユーエス <6554> [東証M]~グループ会社のクロスリアリティは、AR/VRの世界的リーダー企業である米EON Reality(カリフォルニア州)と業務提携し、企業や教育機関に効果的なAV/VRソリューションを提供・サポートしている。メタバース関連としても足もとで関心を集めている。なお、同社は中長期的な戦略として、AR/VR、AI関連を成長ドライバーとして位置付けている。

Birdman <7063> [東証M]~21年12月にソフトバンク <9434> 傘下のリアライズ・モバイル・コミュニケーションズとxRやデジタル・クリエイティブなどを活用した、新しいデジタルコンテンツの創出を目的に業務提携契約を締結している。共同プロジェクトの第1弾として、没入感の高い3Dのライブ映像を、さわって楽しむなど、新たなバーチャル体験が可能なデジタルコンテンツを企画・制作するサービス「さわれるライブ 5D LIVE」の提供を開始した。

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