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元証券マン、営業から勧められた米国株で失敗、そしてリベンジ

特集
2021年12月23日 10時00分

いくぜ、アメ株! 二刀流の極め技 べつおさんの場合-第1回

登場する銘柄

テスラ<TSLA>、エヌビディア<NVDA>、スノーフレイク<SNOW>、ルルレモン・アスレティカ<LULU>、クラウドストライクHD<CRWD>

取材/真弓重孝・富田祥平、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)

【タイトル】べつおさん(ハンドルネーム・40代・男性・兼業投資家):
証券会社に新卒で入社後、大手自動車関係の会社へと移り、資材の調達などを経験。その後は家業を引き継ぎ3代目の社長となる。利用している証券会社の勧めもあり、米国株投資を始めたのは2021年2月頃。そのまま勧められて購入したクラウドストライク<CRWD>で損失を出したことがきっかけでリベンジを果たすべく米国株を本格的に学ぶようになる。投資スタイルは日米問わず、トップラインを伸ばしている企業を追うこと。趣味はゴルフ。

今回登場するべつお(ハンドルネーム)さんは、大手証券会社の出身。だが証券マンとしての経験はわずか2年にとどまる。なぜならべつおさんが営業マンとして腕をふるい始めた新卒入社2年目の冬、勤め先がまさかの経営破綻をしてしまったからだ。

ただ、破綻後は営業成績の良さを買われ大手自動車系の企業に入社、購買関係の職に就いた。今は家業を引き継ぎ3代目として社長を務めている。そんな人生の酸いも甘いも噛み分けてきたべつおさんは、今年(2021年)春から株式投資に本腰を入れるや、またしても不運に襲われた。

付き合いのある証券会社の営業マンの勧めで米国株投資を開始。推奨されたクラウドストライクHD<CRWD>を購入するもつかの間、同社株が下落し、あっという間に含み損を抱えこむことになってしまったのだ。

しかし、そこはべつおさん。社会人デビューしたまもない時期に会社が破綻した不遇を乗り越え、人生をやり直してきたように、米国株投資でも自分流でやり直しを始め、早くも成果を上げている。最初のつまずきから、べつおさんはどのようにして損失を帳消し、そしてリターンを上げてきたのか。

時流に乗る銘柄をシンプル戦略でリベンジへ

まずアメ株、日本株を問わず株式投資でべつおさんが心がけていることは、時流に乗る銘柄をシンプルな投資手法で攻めること。

最近の成功例はEV(電気自動車)関連の本命としてなにかと耳目を集めるテスラ<TSLA>、そして画像処理半導体大手のエヌビディア<NVDA>など、人気テーマに属している銘柄だ。

テスラでは今年(2021年)の10月に、1カ月ほどで約50万円のリターンをさらった。さらに同時期にはエヌビディアでも約90万円のリターンを獲得している。どちらの取引でも、活用したのは移動平均線との乖離(かいり)や売上高の伸びといった基本的な指標だ。

■『株探米国版』で確認できるテスラの日足チャート(2021年9月中旬~12月21日)

【タイトル】

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、
同値は「グレー」。以下同

エヌビディアでは売買判断にMACDを活用

エヌビディアについては、同社の半導体が「ニンテンドースイッチ」の基幹部品として採用されている他、同社はメタ・プラットフォームズ<FB>(旧フェイスブック)が参入して話題のメタバース関連としても注目されていることに注目。

こうした追い風で売上高が安定して伸びていることを評価した。また以前から同社を「次のGAFAM(グーグルの親会社のアルファベット、アップル、旧フェイスブックのメタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト)」になると注目しており、半導体関連として動意付いた同社株を売買して、累計で約92万円のリターンをあげることに成功している

■エヌビディアの日足チャート(2021年7月末~12月21日)

【タイトル】

エヌビディアの取得のポイントとなったのが、MACD(移動平均収束拡散法)と呼ばれるテクニカル指標が底値で転換の兆しをみせたこと。

同指標はMACDラインシグナルラインと呼ばれる2本の線で構成されており、一般に、MACDラインシグナルラインを下から上抜けたところが買いサインの1つとなる。べつおさんはこの値動きを、上昇トレンドに転換したサインと考えた。

売却したのは11月9日。高値圏で大陰線を引いたため、一旦上昇トレンドは落ち着くと判断した。米国株市場は企業決算やFOMC(米連邦公開市場委員会)などの主要イベントも通過し、市場も調整モードに入ると考えて手仕舞った。

このようにべつおさんは人気のテーマのなかから、業績が良い銘柄を選別し、株価が上昇トレンドになったと判断したタイミングでトレードを行っている。

バフェット氏も大量保有のスノーフレイクに注目

同様の手法でリターンを上げたのが、前述したスノーフレイク<SNOW>だ。同社は上場前にも関わらず創業から10年以内で企業価値が10億ドルを超えていた、いわゆる"ユニコーン"の1つ。

また「投資の神様」と呼ばれる米著名投資家のウォーレン・バフェット氏も上場前から同社株を保有していたことで話題となった会社だ。

バフェット氏がSEC(米証券取引委員会)に2020年9月に提出した13Gによれば、報告時の保有株は約610万株になる(下の図)。

■バフェット氏が2020年9月にスノーフレイク株の大量保有を報告した書類

【タイトル】

出所:SECの電子情報データベース「EDGAR」の13G

同じくSECへの提出書類「13F」によれば、2021年12月現在もバフェット氏は同社株の保有は継続している。当時約6億ドルで取得した同社株は現在18億ドル(1ドル=円換算で2100億円)まで膨らんでいる状態だ。

■バフェット氏の足元のポートフォリオと、スノーフレイクの保有比率

銘柄名
<ティッカー>
保有額保有比率銘柄名
<ティッカー>
保有額保有比率
アップル
<AAPL>
1255億ドル42.73%バンク・オブ・アメリカ
<BAC>
428億ドル14.60%
アメリカン・エキスプレス
<AXP>
2538.65%コカ・コーラ
<KO>
2097.14%
クラフト・ハインツ
<KHC>
1194.08%ムーディーズ
<MCO>
872.98%
ベライゾン・
コミュニケーションズ
<VZ>
852.92%USバンコープ
<USB>
752.56%
ダヴィータ
<DVA>
411.43%BNYメロン
<BK>
371.28%
ゼネラル・モーターズ
<GM>
311.08%チャーター・
コミュニケーションズA
<CHTR>
301.04%
シェブロン
<CVX>
290.99%ベリサイン
<VRSN>
260.89%
クローガー
<KR>
240.85%ビザ
<V>
210.73%
リバティメディア
(シリウスXM)C
<LSXMK>
200.70%スノーフレイク
<SNOW>
180.63%
アマゾン
<AMZN>
170.60%アッヴィ
<ABBV>
150.53%
出所:EDGAR「13F」。2021年11月時点

そうした投資の神様の"お墨付き"に加え、べつおさんが同社を評価したポイントは成長性の高さだ。クラウドでビックデータを管理するというビジネスは将来性もあり、既存のアプリやソフトなどの代わりになるのではないかと考えた。

また、売上高も四半期毎に20%程度は伸ばしていて、数字としても結果を出しており、成長性に光るものを感じたという。

■スノーフレイクの日足チャート(2021年9月末~12月21日)

【タイトル】

取得は10月12日だ。移動平均線をチェックし、短期・中期・長期の移動平均線がそれぞれ上向いている状態であったこと、MACDがシグナルラインを上抜いたことで強い上昇トレンドが来ていると考えた。

売却はエヌビディアを手放した日と同じ11月9日だ。こちらも高値圏で大陰線を引き始めたことや、過度なインフレになにかアクションがあるのではないかと考え、保有株を売却。累計で約20万円のリターンを獲得することができた。

これらの銘柄をべつおさんが選んだのは、べつおさんが銘柄選別である4つのポイントを重視しているからだ。

次ページ ルルレモン・アスレティカに注目した理由

 

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