劇的進化が目前に、「自動運転」で頭角現す有望株をロックオン <株探トップ特集>
―非常時でもシステムが危機に対応するレベル4が目前、自動運転実用化への流れ加速―
私たちの生活を今より更に劇的に変化させる技術革新の一つが「自動運転」だ。自動運転の実現がもたらすものは、単に日常生活における移動を簡便にするという効果にとどまらない。今回はそんな日本の基幹産業でもある自動車分野の最先端技術に焦点を当てた。
●劇的な利便性をもたらす技術革新
たゆまぬ技術革新によって、私たちの生活は日々利便性を増している。例えば、ひと昔前は製本された辞書が当たり前で、それから電子辞書が登場し、今やリアルタイムでの翻訳機が身近な時代に変わった。 5Gやお手伝いロボットの普及など、まだまだ待ち望まれている技術革新は多く、それら一つ一つが実現していく中で、私たちの生活は今より劇的に変化していくことになる。そうした期待を背負う技術革新の筆頭とも呼べるのが「自動運転」であるといっても過言ではない。
警察庁の統計によれば、厳罰化の流れや運転アシスト機能のレベルアップといった諸要因もあり、2004年をピークに交通事故発生件数自体は減少傾向にある。とはいえ、17年に東名高速道路で発生した痛ましい事件をきっかけに、改正道路交通法(20年6月30日施行)において、妨害運転(あおり運転)に対する罰則が創設されたことも象徴的な事象であり、その後の人生を変えてしまうような重大な事故の危険は常に身の回りに潜んでいる。また、あおり運転だけでなく、超高齢社会では避けて通れない「高齢ドライバー」問題、なくならない「居眠り運転」や「飲酒運転」など、我々の移動を支える自動車には依然として多くの問題がつきまとっていることも事実だ。
●ついにレベル4が主戦場の時代に
これらの問題を回避するためにも、自動運転の普及が待ち望まれている。ちなみに、自動運転はレベル0~レベル5の6段階に区分されている。「レベル0」は人間が全ての動的運転タスクを実行する、つまり運転免許証の保有者が運転を行う従来通りの形だ。自動運転に対する一般的なイメージに合致した動き、つまり操縦主体が人間ではなくシステムに変わるのは、条件付き自動運転(限定領域)と呼ばれるようになる「レベル3」からとなる。
しかし、21年3月には既にホンダ <7267> がレベル3のトラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)を実現した新型LEGENDを発売。既に各社の目線は、非常時でもシステムが危機に対応する「レベル4」に向かっている段階にある。「自動運転なんてまだ先の話」と考えていた投資家にとってはやや意外な話かもしれない。
こうした背景もあり、警察庁も「レベル4」の自動運転車の許可制度を創設する方針を固めたと21年12月に一部メディアが報じている。目先的には、過疎地での無人巡回バスなどを想定しているようだが、実際に制度が成立することになれば、自動運転実用化への流れが改めて加速していくことになるだろう。また、岸田首相は21年12月の所信表明演説において「新しい資本主義の主役は地方だ」と述べている。地方(過疎地域)の問題の一つである「交通」が自動運転の活用によって解決されれば、新たな地域展開などが動き出す可能性も十分にある。
また、米中独といった自動車大国も軒並み公道試験や法整備などを急いでおり、日本も後れを取るわけにはいかない。そういった意味でも、自動車メーカー各社や関係企業の開発努力に大いに期待したいところだ。そこで今回は、自動運転関連の銘柄にフォーカスして今注目しておくべき7銘柄を選定した。
●自動運転で活躍期待の7銘柄
◆愛知製鋼 <5482> ~超高感度磁気センサー「MIセンサ」を手掛けており、自動運転分野のほか、セキュリティー、医療、スポーツなどで幅広く活用されている。身近なところでは、スマートフォンの地図サービスにおける電子コンパスやナビゲーションのAR表示、VRゴーグルやドローン搭載カメラの姿勢検知などで使われている。同社のGMPS(磁気ポジショニング・システム)は、地面に設置した磁気マーカーが発する微弱な磁気信号を、センサーユニットに搭載した「MIセンサ」が検知し、自車位置を高い精度で推定して高度な車両制御を支援し、自動運転を支える。
◆ソーバル <2186> [JQ]~ファームウェア、ソフトウェア並びにハードウェアの開発及び評価に関するサービスを提供するエンジニアリング事業を展開。組み込み開発では、これまでカメラ、プリンター、各種家電、オフィス機器、医療、人工知能(AI)、自動運転・産業用装置の開発に携わり、技術を蓄積してきた。自動運転にも携わっており注目。主要取引先はソニーグループ <6758> であり、電気自動車(EV)新会社に関連する発表があった際には思惑から動意づく場面も。
◆ファルテック <7215> ~同社は自動車部品、自動車用品、自動車関連機器の3つの事業を展開しており、「環境・燃費」「加飾」「CASE」の3つのキーワードで新商品の開発を行っている。また、自動車の衝突を回避する自動ブレーキなどの安全技術に利用されるミリ波レーダーカバーを国内で初めて商品化しており、金属調でありながらミリ波を透過する高品質な表面処理を提供している。
◆小糸製作所 <7276> ~自動車照明器関連事業を手掛けている。コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化などモビリティ変化への対応として、LEDヘッドランプやADB(配光可変型ヘッドランプ)、各種センサーなど市場・得意先ニーズを先取りした新技術・新製品開発を展開している。自動運転で運用されるシェアカーなどへの実装を見込んでいるセンサー搭載ランプは、車両の周囲を360度監視するだけでなく、歩行者や他の車両とのコミュニケーションも可能にする。
◆アイサンテクノロジー <4667> [JQ]~自動運転技術実用化ソリューション、自動運転用高精度3次元地図/ADASmap、高精度3次元地図生成ソフトウェア/3DWING、走行映像データベース/HEAT Projectなどを手掛けている。コア技術である高精度演算、並びに高精度位置情報解析技術を通じて、「自動走行・安全運転支援」「高精度測位社会」「高精度地図」をキーワードに取り組みを行っている。
◆日本CMK <6958> ~民生用・産業用各種プリント配線板及び電子デバイスの開発・製造を手掛けている。ADAS(先進運転支援システム)や自動運転システムに使用されるミリ波、カメラ、画像センサー、LiDARなどのセンサー向けプリント配線板の開発を手掛ける。
◆日本電波工業 <6779> ~水晶デバイス専業メーカー。水晶デバイスは、デジタル家電、自動車やスマートフォンに至るまで幅広い分野で使用されるようになっており、自動車に搭載されるADAS機器の増大や5G基地局のインフラ整備が進むことなどから、自動車、5G向け需要の拡大が見込まれている。
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