【村瀬智一が斬る!深層マーケット】決算を受けた再評価に期待、高進捗率銘柄に注目

市況
2022年1月29日 8時00分

「決算を受けた再評価に期待、高進捗率銘柄に注目」

●日経平均は昨年来安値を更新し、2020年11月以来の水準まで下落

年明け以降、米国の金融引き締めを警戒して調整を続ける日経平均株価は、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)におけるパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の声明が、タカ派色の強い内容だったと受け止められたことをきっかけに波乱の様相を強めた。27日の東京市場で日経平均株価は急落し、一時966円安の2万6044円と昨年来安値を更新。2020年11月以来の水準まで下落した。目先的には大幅な下落に対する修正リバウンドは意識されるものの、需給状況が大きく悪化したなかでは、インデックスに絡んだ商いのほかは、押し目狙いの買いは入りづらそうだ。

日経平均株価の2万8000円から2万6000円水準までの下落過程は、商いを伴っておらず、価格帯別の出来高では真空地帯となる。そのため、いったんリバウンドに入れば戻りは速いだろう。ただし、一方で20年10月下旬の2万3500円水準までは同様に商いが薄い価格帯であるため、早い段階で底打ちを見せないと、逆にもう一段の調整を警戒しなければならなくなる懸念もある。

また、主要先進国の金融引き締めの動きは、次第に織り込まれてくると見られるものの、岸田政権の経済政策に対する懸念が強まっている点は不安材料になりやすい。金融所得課税の強化、自社株買いの制限、実態の不透明な「新しい資本主義」など、マーケットに対してはネガティブな発言が目立つ。日本独自の不安要因によって海外投資家の資金流入が限られることになれば、リバウンド局面においては日本株の相対的な戻りの鈍さが意識されそうだ。

なお、しばらくは波乱含みの相場展開が想定されるが、決算発表が本格化することで、業績面を手掛かりとした個別物色に向かいやすくなるとみられる。足元の急落によって決算期待から先回りする動きは乏しかっただけに、決算を受けた再評価の動きに期待したい。そこで、今回は今期営業増益を見込み、足元の事業環境も良好と見られ、かつ第2四半期時点における業績進捗率が高い銘柄に注目した。

●来週の活躍期待「注目5銘柄」

◆ビー・エム・エル <4694>

臨床検査や 電子カルテなど医療情報システムのほか、治験、食品衛生検査、環境検査、歯科検査といった臨床検査技術を応用した事業を展開する。新型コロナウイルス関連検査の需要が伸び、2022年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業利益は前年同期比5.5倍の275億円だった。臨床検査におけるPCR検査のうち民間検査会社の検査実施数が右肩上がりで推移。第3四半期は落ち着いたと見られるが、年明け以降の新規感染者の急増によって、第4四半期は再び検査数が急増してくると考えられる。通期計画の営業利益320億円に対する第2四半期累計の進捗率が86.0%に達したこともあり、上方修正も期待されよう。なお、第3四半期決算の発表は2月9日に予定されている。

◆ファルコホールディングス <4671>

遺伝子検査や生化学的検査、血液学的検査、微生物学的検査など臨床検査事業を基盤に事業を展開する。また、ヒト遺伝子検査事業を戦略分野として位置づけている。中期経営計画では新型コロナウイルス感染抑制への貢献、臨床検査事業や調剤薬局事業の競争力の強化のほか、電子カルテやICT(情報通信技術)の活用による診療所支援ビジネスといった新たな収益源の確立を掲げる。2022年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業利益は前年同期比4.4倍の31億円だった。臨床検査事業では、新型コロナウイルスが猛威を振るった第5波の影響によりコロナ関連検査の受託数が当初の想定を超えて著しく増加した。通期計画に対する第2四半期累計営業利益の進捗率は78.4%となる。なお、第3四半期決算の発表は2月8日に予定。

◆戸田工業<4100>

酸化鉄のトップメーカーであり、無機材料の微粒子合成技術を応用したプリンターや複写機のトナー用材料、自動車用リチウム電池正極材料、モバイル端末機器向けアンテナ材料などを手掛ける。2022年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業損益は12億円の黒字(前年同期比は4億円の赤字)に転換した。コンテナ不足による海上輸送費高騰の影響は受けたものの、磁石材料と着色材料の需要が国内外ともに回復したほか、利益率の高い製品の売上が伸びたことにより黒字に浮上した。また、高効率水素製造システムの研究開発のほか、CO2固体回収材の開発など脱炭素に向けた取り組みを進めている。なお、第3四半期決算の発表は2月8日に予定。

◆帝国通信工業<6763>

「NOBLE」ブランドでフィルム印刷と成型・プレス加工の2つの技術をコアに、金属加工、金属設計、製品設計、生産技術、組み立て加工などを展開。足元の業績は、2022年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業利益は9億4800万円(前年同期は500万円)と急拡大した。半導体不足による減産もあったが、自動車関連、ゲーム関連向けに加え、カメラ関連向け前面操作ブロック(ICB)やレンズ用センサー、家電市場向け固定抵抗器、医療機向けセンサーなどが堅調に推移している。通期計画に対する第2四半期累計営業利益の進捗率は72.9%となる。なお、第3四半期決算の発表は2月8日に予定。

◆第一稀元素化学工業<4082>

機能性材料であるジルコニウム化合物を手掛け、触媒やエレクトロニクス、ファインセラミックスなど幅広い分野の製品を扱う。主な用途では、自動車排ガス浄化触媒や工業用では脱硝触媒や石油精製触媒など。電子材料ではセラミックコンデンサー、圧電素子、製鋼用酸素センサーなどに使われる。2022年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業利益は20億円(前年同期は5800万円)で着地。通期計画に対する第2四半期累計営業利益の進捗率は69.8%となる。なお、第3四半期決算の発表は2月10日に予定。

2022年1月28日 記

株探ニュース

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