3月のFOMC前に必見、9945さんのアメ株「ソラマチ」戦略
いくぜ、アメ株 !二刀流の極め技 www9945さんの場合-第2回
登場する銘柄
1990年代、年収300万円の清掃員だった頃に、100万円を元手に株式投資を開始。投資歴が25年近くなる現在は、5億円以上の財産を築き上げているサラリーマンの星。
投資スタイルは、割安成長株に着目しピラミッティングで利益の最大化を目指すとともに、インカム狙いの高配当株投資を並行して行うやり方。投資対象は日本株を主軸とし、米国株やベトナム株に加え、最近はフィリピン株にも対象を広げている。趣味は銘柄発掘も含めた街角ウォッチング。
前回記事「5億円プレーヤーの9945さん、アメ株は『ドラえもん』と呼ぶワケは」を読む
今年1月半ばからアメ株相場は急落、中でもキラキラ・グロースの代表格であるGAFAM*は大きく調整することに。足元ではリバウンドする場面を見せつつも、ナスダック総合株価指数やナスダック100株価指数は、昨年末から10%程度の下落となっている。
*GAFAM(グーグルの親会社のアルファベット、アップル、旧FBのメタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト)の略
インフレの高進に落ち着く気配が見えない中で、FOMC(米連邦公開市場委員会)が金融引き締めを強化していくという思惑が、投資家のリスク回避姿勢を強めていると見られる。
市場が混乱する中で、今回登場中の億万投資家www9945さん(ハンドルネーム、以下、9945さん)は、アメ株で痛手をほぼ受けずに済んでいる。その理由は主に2つ。
1つ目は、前回記事で紹介しているように、アメ株投資での個別銘柄では、高配当のたばこ株やビール、チョコレート株などの景気や金利上昇に左右されづらいディフェンシブ銘柄を選別していること。
2つ目は、ハイテク主要銘柄への投資はETF(上場投資信託)で長期に積み立てを行ってきたことと、そのETFを急落の初期段階で大部分を利益確定していたからだ。
今回は2つ目のETF投資に焦点を当てる。なぜ、9945さんはハイテク銘柄への投資を、得意とする個別株でなくETFの積み立てにしているのか。そして今回の急落前に利確に踏み切れたのか。
ETF3本を月1回積み立て投資
9945さんはアメ株投資再開後の2018年頃から、米国のETFの投資を開始している。ネット証券が提供する自動積立機能を利用してきた。これまで主に投資してきたのは次の3本だ。
ナスダック100指数との連動を目指すインベスコQQQトラスト<QQQ>、
S&P500種指数連動のバンガードS&P・500ETF<VOO>、
米国のヘルスケア・セクター銘柄で構成されるバンガード米国ヘルスケア・セクターETF<VHT>
――となる。
■QQQの月足チャート(2016年1月~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、
同値は「グレー」。以下同
積み立て投資では、毎月自動で1万円ずつなど一定金額を買い付ける方法、ないしは1株ずつなど一定数量を買い付ける方法のどちらかを選択できる。9945さんの場合は、一定数量でスタートした。
QQQは18年4月から2株ずつ買い付け始め、以降、19年2月からは1株ずつに減量
VOOは18年4月から2株ずつ、20年9月からは1株ずつに減量
VHTは19年2月から2株ずつ
――こんなペースで、積み立ててきた。QQQとVOOの積み立てを途中から減らしたのは、株価の急上昇で月々の買い付けコストが上昇したことで、その負担を減らす調節をしたものだった。そしてETFポジションの調節は、最近のアメ株の大幅調整の初期段階で断行した。
具体的には、VHTの半分を残して今年1月10日~24日に全て売却したのだ。最高値で売るのはかなわなかったものの、9945さんが積み立て開始して以降は、かなり株価は上昇している。凹んだ部分はわずかなものに過ぎない。
ハイテクのQQQでは63%、S&P500指数連動のVOOは43%、ヘルスケアのVHTでは16%ものリターンを約4年程度で確保するという、かなりの好成績を得た格好だ。
9945さんが、暴落初期に利確に踏み切ったのは、今後予想される米国金利の上昇がハイテク・グロース株のGAFAMを直撃すると感じたから。当然、QQQやGAFAMの影響度が高いVOOに与える下押しインパクトは大きいものと考えた。
今後は、これらのETFは2月にいったんリバウンドするも、3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)に向けて再び下値を試す展開になるとの見方から、いったん利確という決断に至ったわけだ。
また、「もともと積み立てなんて、そんなに儲からないだろう」と、始めた時のハードルが低かったのも迷わず利確できた理由の1つになる。
成長セクターをまとめ買いしておけば、ある程度の株価上昇についていけるだろうという期待があった程度で、当初の期待以上の成果が出たこと自体に満足したことも大きかった。
■VOOの月足チャート(16年1月~)
得意としないハイテク分野はお任せ投資で
「個別銘柄選びが大好き」という9945さんが、こうしたETFを活用するのはなぜなのか。それは自分の得手、不得手をしっかり把握したうえで、それに対応した方策を取るよう心掛けているからだ。
9945さんが、ETFによるお任せ投資を選択するのは、米国のハイテク分野を地盤にする企業は長期的には伸びるとわかっていても、開示資料は英文であることなど、国内企業のようにきめ細かい分析がしづらいと考えるからだ。
自分がわからないものは、投資対象にしない方針は日本株でも同じ。日本株で個別株投資の対象にしているのは、主に消費者向けの商品を提供する「B to C」の企業に絞っている。これらの企業は、9945さんが普段から行っている「街角ウォッチング」をヒントに、選別しやすいからだ。
一方で、企業向けにビジネス展開する「B to B」企業や、専門的知識を要するハイテクや、バイオ・ヘルスケア関連の銘柄は投資対象から極力、外している。この日本株投資で行ってきたメリハリを、アメ株でも適用している。
投資対象の選別は日本株と同じスタイルだが、アメ株と日本株投資でまったく異なるスタイルもある。それは、日本株では、「これだ!」と思った銘柄は、信用取引でレバレッジを効かせて、ポジションを積み上げていく増し玉をしながら、積極的にリターンを追求していく。
だがアメ株ではインカム狙いや積み立て投資といった草食系のスタイルに徹する。それはなぜか?
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