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政府の新指針で脚光、建て替え需要の国策「原発関連株」に再評価機運 <株探トップ特集>

特集
2026年6月16日 19時30分

―40年代までに「最大5基」、電力供給体制の強靱化に向け次世代革新炉への転換も―

昨年秋の高市政権誕生後、日本のエネルギー政策は原子力発電所重視の方向へと大きく転換した。政府は既存の原発を有効活用しつつ、次世代革新炉の早期実現を目指す姿勢を鮮明にし、老朽化する日本の原発について、2040年代までに最大5基を建て替える新たな指針を明らかにした。国策的な需要の満喫が期待される原発関連株に対し、投資家の関心が強まりつつある。

●50年代までなら「11~14基」

資源エネルギー庁は6月5日、経済産業相の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会において、「今後の原子力政策の方向性と行動指針」の改定案を提示した。40年代までに約220万~550万キロワット分(約2~5基に相当)、50年代までとした場合、40年代までの分を含めて約1270万~1600万キロワット分(約11~14基に相当)の原発の建て替えが必要だとしたうえで、既存の原発を最大限活用して電力の安定供給確保を目指す構えを示した。

AIの普及に伴い データセンターの建設が進み、これに伴って電力消費量の拡大も見込まれている。政府は昨年、原発の稼働について60年超でも可能とする法律を施行した。今回、建て替えが必要な原発数を明示したことは、電力会社を含め民間企業には事業の予見性の向上につながり、次世代革新炉への置き換えに向けた機運を高める契機となりそうだ。

原子力小委員会の開催に先立って、国内メディア各社は政府の新指針について報じており、その内容を受けて市場では原子力関連株の一角が一時的に動意づくこととなった。具体的には原子力圧力容器用鍛鋼品などを手掛ける日本製鋼所 <5631> [東証P]や、原発向けバルブを手掛け小型モジュール炉(SMR)向けの製品開発も進める岡野バルブ製造 <6492> [東証S]、原発向けバルブアクチュエーターで90%以上のシェアを持つ日本ギア工業 <6356> [東証S]、核燃料輸送容器や核燃料濃縮関連機器、放射性廃棄物処理装置を製品群に持つ木村化工機 <6378> [東証S]などである。

短期志向の思惑的な資金流入には足もとで一服感がでているものの、中東情勢を受けて原油調達リスクが指摘されるようになった今、原発の安全性を確保しつつ、重要電源として活用するべきだとの経済界の声は一段と大きなものとなると考えられる。AI・半導体関連株への資金流入が顕著となるなか、着実な事業拡大が見込まれる原発関連株の一角には投資妙味を感じさせるものも多い。そのような観点で注目銘柄をピックアップしてみた。

●助川電気や東京エネシスなどをマーク

助川電気工業 <7711> [東証S]は熱制御技術を強みとして温度センサーや加熱機器をはじめ、エネルギー関連や半導体製造装置、自動車関連向けなどの製品を展開。核融合関連銘柄の筆頭格であり、高市政権関連銘柄と位置付けられた過去がある。核融合反応からエネルギーを取り出す重要部品である液体金属ブランケットの試験装置の製作に参画した実績を持ち、研究機関向けに溶融金属ループなどの製品を供給している。次世代革新炉を含め試験関連需要が引き続き業績を下支えする見通し。更に原発関連の製品が増加することにより、着実な業績成長を果たすことが期待できそうだ。26年9月期は連続最高益更新の見通し。前年に大きく上昇した反動もあって、同社株は年初来で20%近く下落している。

東京エネシス <1945> [東証P]は東京電力ホールディングス <9501> [東証P]向けを中心にエンジニアリング事業を展開。前期に東電HDは保有株の一部売却に動いたが、なお18%程度を保有する筆頭株主だ。27年3月期の売上高は前期比14%増と2ケタ増収を予想。営業利益は54%増で16年3月期の最高益を11期ぶりに更新する計画だ。今後3年程度は原子力関連で再稼働に向けた安全対策工事が堅調に推移する見通しで、使用済み燃料再処理工場の操業開始に向けた安全対策工事も最盛期を迎えると想定。5月の株価急騰を経て日柄調整局面にあるが、PER(株価収益率)は15倍近辺と割高感は乏しく、25日移動平均線割れの場面は買い向かいたい。

太平電業 <1968> [東証P]は発電プラントの建設・保守・解体まで一貫して対応するエンジニアリング企業。27年3月期は売上高と営業・経常利益が2ケタ増の計画で、前期に続き過去最高益の更新を見込む。原子力発電設備工事を含め受注高が足もとで大きく拡大。補修工事の売上高が年々拡大し、収益力も高まっている。株価は3月に上場来高値3200円を形成後、上値を重くしたが、足もとでは2500円どころをサポートラインに下値抵抗力を示している。

帝国繊維 <3302> [東証P]は消防用ホースで知られ、機能繊維で事業を拡大。来年に創立120年を迎える。26年12月期第1四半期(1~3月)の売上高は前年同期比で3割近く増加。営業利益は4割増と業績は好調で、営業利益の通期計画に対する進捗率は早くも94%台と上方修正期待が高まっている。林野火災の頻発で消防ホースや資機材の需要が増加するとともに、今後については原子炉冷却システムへの大口径ホースなどの需要も高まっているという。アクティビストである英ニッポン・アクティブ・バリュー・ファンドらによる共同保有割合は10%超。防衛向けや水害対策の製品も手掛けており関連テーマは豊富。信用倍率は1倍割れと好取組で需給妙味もある。

新日本空調 <1952> [東証P]は空調設備工事を手掛け、データセンター関連での需要拡大の恩恵を受ける企業だが、原子力施設の空調で高い競争力を持つ。27年3月期は連続最高益更新を計画。豊富な繰越工事の着実な進捗を見込むほか、原子力関連工事も業績の下支え要因となるという。30年3月期に営業利益率を12%以上(27年3月期予想10.0%)、ROE(自己資本利益率)を18%以上(同16%程度)に高める計画。PERは12倍台と割安感が意識される。宇宙関連での事業拡大も期待したい。

TVE <6466> [東証S]はバルブメーカーで、原発向けを得意とする。26年9月期第2四半期累計(25年10月~26年3月)の決算は、関西電力 <9503> [東証P]の高浜原発や四国電力 <9507> [東証P]の伊方原発、九州電力 <9508> [東証P]の玄海原発と川内原発の定期検査工事が完了したことに伴う収益の計上で、売上高が前年同期比27%増の60億300万円と大幅な増収。営業利益は同4.4倍の8億3900万円で通期計画(7億円)を超過した。PBR(株価純資産倍率)は0.7倍台にとどまっている。

このほか、原発向けの金属製の保温材などを取り扱うニチアス <5393> [東証P]や、三菱重工業 <7011> [東証P]の代理店として蒸気発生器や蒸気タービンなどを納入しアフターサービスまで行う西華産業 <8061> [東証P]、西華産を筆頭株主とし核燃料再処理施設の関連工事などにも展開する東京産業 <8070> [東証P]、冷却水として使用する海水の塵芥を除去する装置を製品群に持つ三菱化工機 <6331> [東証P]などもマークしておきたい。

株探ニュース

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