【兜町スクランブル】日経平均が一時7万円台突入、利上げの日銀「ハト派」色に反応
16日の東京株式市場で、日経平均株価は取引時間中として初めて7万円の大台に乗せる場面があった。16日まで開かれた日銀の金融政策決定会合は、市場の大方の予想通り政策金利を1.0%に引き上げた。植田和男総裁が欠席した異例の会合で、利上げの決定は賛成7人に対して反対1人となり、反対に回った浅田統一郎審議委員は金利据え置きを主張した。市場では1.25%への利上げ提案が出てくるとの思惑も一部にあったが、タカ派的な姿勢が強く示されなかったことは、海外勢の仕掛け的な先物買いを誘う要因となった。
声明文において日銀は物価に関し、原油価格を起点とした企業間取引での価格転嫁が「やや速いスピード」で進んでいるとしたうえで、「消費者物価の基調的な上昇率が2%の『物価安定目標』を超えて上振れするリスクがある」と指摘。経済の大幅な下振れリスクの後退を含めて、今回の利上げ決定の根拠とした。更に日銀は声明文に「緩和的な金融環境は維持される」と記載。緩和の度合いを調整するタイミングやペースについては、経済・物価情勢に応じて判断する方針を示した。このほか、日銀は事前報道に沿う形で、国債の買い入れ減額を来年4月から停止すると発表した。
米国とイランが和平で合意する方向となり、原油価格の上昇が一服した。日銀として次回以降の会合で利上げを急ぐ環境にはない。これまで利上げを主張してきた高田創審議委員と田村直樹審議委員の任期は来年7月で、残りはおよそ1年だ。その後は政府側から人選面で緩和的なバイアスがかかる可能性がある。為替水準にもよるが、半年ごとの利上げというのなら、あと2回が関の山になるのではないか。そんな計算が働く。
日経平均は後場寄り後に7万0020円68銭をつけた後は値を消す展開となった。直近まで急ピッチな上昇をみせていたとあって、テクニカル的な過熱感が意識され、利益確定目的の売りがかさんだようだ。ドル円相場は一時1ドル=160円30銭台と円安方向に振れた。
投資家の関心は米連邦公開市場委員会(FOMC)に向かうことになる。波乱なく通過し、市場に安心感が広がるかどうか、注視されることになる。株式市場においては「利上げに前のめりではない日銀の姿勢はポジティブ。今後は配当再投資に絡む買い需要が見込まれている。過熱感が意識されながらも日経平均7万円は一つの通過点となりそうだ」(中堅証券ストラテジスト)との声が聞かれた。(碧)