概要・株価
チャート
ニュース
かぶたん ロゴ
PR

明日の株式相場に向けて=爆騰キオクシアが崩壊の序曲を奏でる日

市況
2026年6月16日 17時30分

きょう(16日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比87円高の6万9404円と小幅続伸。朝方から方向感の見えにくい相場であったが、日銀の金融政策決定会合の結果を待っていたフシがある。日銀は事前にアドバルーンを上げた通り、0.25%の追加利上げと国債買い入れ減額の停止を決めたが、株式市場に対して好感する方向に作用した。日経平均は一時700円を超える上昇をみせ、ワンタッチとはいえ待望の7万円台に乗せた。そのココロは浅田審議委員が一人利上げに反対票を投じたこと。これだけで、次回の追加利上げのハードルを大幅に高める背景となり得る、とマーケットは判断したことになる。

相場の中身を見れば相変わらず、AI・半導体をテーマとするロングラン相場が続いている。今月1日にソフトバンクグループ<9984>の時価総額がトヨタ自動車<7203>を上回ったことが話題を呼んだ。トヨタは製造業の盟主でありソフトバンクGは日本を代表する投資会社であることは周知の通り。業態の違いもあって利益率を比較するのはナンセンスだが、売上高規模で見ればトヨタの50兆円規模に対し、ソフトバンクGは8兆円に届かない。しかし、投資の世界は水モノで株式市場を取りまく環境によって目まぐるしく収益は変動する。ソフトバンクGにとってはいわば逆境も栄華も刹那的である。それを暗示するかのようにトヨタとソフトバンクGの株価は短時日で再び逆転した。

しかし、今度は東京市場の売買代金トップ常連であるキオクシアホールディングス<285A>が凄まじい勢いで時価総額を膨張させ、今月中旬になってトヨタを抜いた。キオクシアはトヨタと同様、メーカー企業だが、NAND型フラッシュメモリー専業であり、かなりニッチな領域ながら突然変異的に高成長路線に突入している。かつて米エヌビディア<NVDA>がGPUのAIサーバー向け特需を取り込み業績と株価を変貌させたごとく、キオクシアもAIデータセンター内に設置される記憶媒体のSSD向けにNANDメモリーの爆発的な需要が発生したことで収益が様変わりし、株価も噴き上げた。

昨年6月中旬のキオクシアは2000円程度に位置していたから1年間で50倍近いパフォーマンス、1兆円規模の時価総額を有していた大型株がテンバガーどころではない前人未踏の大化けを演じたわけだ。そしてこれは、世界中に自動車を売りまくる製造業の盟主が歴史と共に築き上げてきた時価総額を、あっという間に抜き去る現実とシンクロすることになった。昨今のAI革命は、21世紀の産業革命と言い換えてももはや全く違和感はないが、それにせよ売上高が2~3兆円レベルのキオクシアが50兆円規模のトヨタの時価総額を大きく上回るという事象は、やはりバブルと表現するしかない。

だが、キオクシアの株価がバブルに相違ないからといって、空売りで報われると考えるのは株式市場では必ずしも通用するセオリーではない。株式市場はマクロ的には経済を映す鏡であるが、部分的には極端にバイアスがかかることも珍しくない。今のAI相場は単なるブームではない。何年先かは分からないがシンギュラリティの到来でAIが支配するような時代が近いということを暗示している。ただし、キオクシアを筆頭とするAI関連に位置付けられる企業の株価は明らかに行き過ぎているケースが多い。インフレ懸念が世界に猖獗(しょうけつ)するなか、金や銀市況など貴金属市況が急落し、ビットコイン価格も崩落、更に国内不動産市況も金利上昇局面で急速に軟化するなど、投資資金の流れが著しく合理性を欠いている。

きょうは日経平均が一時7万円台に乗せたが、個別を見ればプライム市場のほぼ7割の銘柄が下落し、新高値に買われた銘柄よりも、新安値に沈んだ銘柄の方が多いという事実。これが常態化したとして、二極化で肯定される健全な上昇相場ではない。言うに及ばず今はAI・半導体の周辺株がホットマネーをまとめて吸引するブラックホールのような状態となっている。空売りは常に凌駕され踏み上げ相場の肥やしにされてきたが、この偏向的な強気相場の終着点にユートピアが待っているはずもなく、いずれブラックホールが破綻する可能性は高いと考えておく方が賢明であろう。考え方として今は壮大な坊主めくり相場で、当分は坊主を引くことはないと皆が思っているからこそ、機会損失を回避する方を優先している。この歪みを矯正するフェーズは業績バブルの崩壊に始まると考えられ、それがいつになるかというのが問題であり、その距離感を見誤らないことが肝要となる。

あすのスケジュールでは、4月の機械受注、5月の貿易統計、5月の訪日外国人客数などが発表される。なお、この日はトヨタの株主総会が行われる。海外ではスウェーデン中銀が政策金利を決定、同じくブラジル中銀も金融政策決定会合の結果を発表する。また、5月の英消費者物価指数(CPI)が開示され、米国では5月の小売売上高、5月の仮契約住宅販売指数、4月の企業在庫などが発表される。加えてFOMCの結果公表とウォーシュFRB議長の記者会見が予定され、世界的にも注目度が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集