コロナ禍の花粉症シーズン到来、感染拡大防止にも絡み対策関連株が飛ぶ <株探トップ特集>

特集
2022年2月8日 19時30分

―くしゃみが脅威になる恐れも、免疫療法や市販薬などに期待感が高まる―

コロナ禍も、早くも3年目に突入した。100年に1度と呼ばれるパンデミックのなか、日本は新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」による感染第6波に見舞われている。デルタ株に比べ弱毒化したとも言われるものの、その収束はまだ見えていない。そんななか、今年も花粉症に悩まされるシーズンが到来する。花粉症に起因するくしゃみが新型コロナの感染拡大につながりやすいとの指摘もある。コロナ禍での、花粉症対策関連株を探ってみた。

●2月に入り花粉の本格的な飛散期に

花粉症はスギなどの花粉が原因となって起こるアレルギー疾患の一つであり、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみ(涙が出る)などの症状が出やすい。日本気象協会やウェザーニューズ <4825> では本格的な飛散は2月からと予想しているが、晴れた日や風が強い時には1月中旬ごろから少しずつ飛散し始めており、既に何らかの症状を発症している人もいるだろう。

気象庁は3日、向こう1ヵ月の予報を発表し、2月は後半ほど気温が上昇傾向となるとの見通しを示した。気温の上昇とともに西日本から東日本でスギ花粉の飛散が本格化するとみられる。また、WNIウェザが1月に発表した花粉飛散予想によると、今年の飛散量は平年(過去10年平均)並みとなるエリアが多い見込みであるものの、2021年春との比較では北日本や北陸で多いとの見方を示した。更に、日本気象協会の花粉飛散予測では、東京のスギ花粉飛散ピークは3月上旬から下旬となる見込みで、飛散量は東海や北陸、関東甲信、北海道で前シーズン(21年春)より多いと予想した。

●花粉症で自然免疫が弱ることも懸念要因に

コロナ禍では、花粉症に起因するくしゃみが新型コロナの感染拡大につながりやすいとの指摘がある。くしゃみ以外でも、鼻水や目のかゆみで手が顔に触れる機会が増えるため、これが新型コロナの感染リスクを高めることにつながる。

また、昨年の花粉症シーズンには、花粉症で自然免疫が弱まると、新型コロナへの感染リスクが高まるという独ミュンヘン工科大学などの研究結果が各メディアで報じられ、話題となった。新型コロナの感染防止という観点でも、花粉症対策は重要である。

●新型コロナ対策は花粉症にはプラス・マイナスの両側面

新型コロナの感染防止対策が、そのまま花粉症対策になるとの見方は多い。最大の防御策は マスクの着用であり、これによって鼻や口から花粉を体内に取り込むリスクはかなり軽減される。

一方で、目に付着した花粉の体内への取り込みは、新型コロナへの対策では防ぎにくい。ゴーグルやフルフェイスのマスクを着用すれば解決する話ではあるものの、現実には難しい。加えて、新型コロナの感染防止対策が、逆に花粉症の発症リスクにつながることも考えられる。室内などでは換気を目的とした空気の入れ替えのため、部屋の窓を常に5センチメートルほど開けたままにしたり、あるいは30~60分につき5分程度、窓を全開にして空気を入れ替えたりすることが推奨されているが、これは室外からの花粉の取り込みにつながる。

●鳥居薬の「シダトレン」や「シダキュア」に期待

今年の花粉症シーズンは新型コロナの感染第6波と重なる。花粉の飛散量は平年並みのところが多い見通しであるものの、過去には予想に反して飛散量が多かった年もあるため、本格的な花粉症シーズン入りを前に、しっかりとした対策が必要だ。

花粉症対策で知られるのが「舌下免疫療法」であり、これはアレルゲン免疫療法(減感作療法)の一種で、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少しずつ体内に吸収させることによってアレルギー反応を弱めていく治療法。現在、スギ花粉症とダニのアレルギー症状を根本的に治すことができる唯一の治療法であり、鳥居薬品 <4551> が「シダトレン スギ花粉舌下液」を取り扱っている。

「シダトレン」は国内で初めて承認された、舌下に投与する減感作療法薬であり、皮下注射による減感作療法と比べて注射による痛みもなく、自宅で治療ができるのが特徴。このほか、スギ花粉症のアレルゲン免疫療法(減感作療法)薬として「シダキュア」もある。鳥居薬は例年、花粉症のニュースの増加とともに関連株として物色されやすいため、今年も注目しておいてよいだろう。

●久光製の「アレグラ」や大正薬HDの「クラリチン」が売れ筋

花粉症の治療は一般的に、内科などで診察してもらい、各自に合った薬を処方してもらうのだが、病院の外来患者の中に新型コロナの感染者がいる可能性があって、これが怖いという理由で受診をためらう人が多い。実際に、せき(くしゃみ)、鼻づまり、のどの痛みといったアレルギー症状で病院を訪れ、本人は花粉症と思っていたものの、診察すると新型コロナの陽性だったというケースもあるという。

このリスクを回避するため、通院して治療や薬の処方を受けたりせずに、市販薬の処方で対処する人が、今年は例年よりも増える可能性がある。かつては「市販薬は服用すると眠くなる」というデメリットがあったが、最近はかなり軽減されている。

カカクコム <2371> が運営する「価格.com」やZホールディングス <4689> の子会社であるヤフー運営の「ヤフーショッピング」などで売れ筋ランキングを調べると、久光製薬 <4530> の「アレグラFX」が上位にランクインしている。大正製薬ホールディングス <4581> の「クラリチン」や「パブロン鼻炎カプセル」、小林製薬 <4967> の「チクナイン」、ロート製薬 <4527> の「アルガード」といった定番商品も人気化している。

●森永乳やエステーは花粉症シーズン向けに新製品を投入

製薬企業以外では、キユーピー <2809> が販売している機能性表示食品「ディアレ」がネットショッピングの口コミなどで注目されているようだ。酢酸菌GK-1とGABAが含まれており、酢酸菌GK-1は花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる鼻の不快感を軽減し、GABAは仕事や勉強による一時的な精神的ストレス、疲労感を軽減する機能があることが報告されているという。機能性表示食品では、森永乳業 <2264> が1月に発売したヨーグルト「ビヒダスヨーグルトKF」も注目したい。

今回の花粉症シーズンに向けて投入された新製品では、エステー <4951> の「MoriLabo ナイトケア 花粉バリアポット」がある。北海道産のトドマツから抽出した香り成分がスギ花粉をコーティングし、アレル物質の働きを低減する花粉対策商品。寝室に置くだけで香りが花粉をガードし、就寝中や起床時の花粉対策ができる。

また、WNIウェザは今年から、ユーザーに人気の「花粉レーダー」の予測時間を36時間から48時間に延長し、提供を開始した。「花粉レーダー」は業界最高クラスの250メートルメッシュ/1時間ごとの花粉の飛散予測がマップ上で確認できる。

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