富田隆弥の【CHART CLUB】 「調整アノマリーの3月を控え、様子見も一策か」
◆決算発表が大方出揃い、22年3月期の業績見通しを上方修正する企業が目立った。好業績の個別株には素直に上昇するものもある。だが、ハイテク関連や中国関連などの日本の主力銘柄(ソニーグループ <6758>、東京エレクトロン <8035>、アドバンテスト <6857>、ダイキン工業 <6367>、キーエンス <6861>、日本電産 <6594>、村田製作所 <6981>、ファーストリテイリング <9983>、ソフトバンクグループ <9984>など)のチャートを見ると、1月からの調整局面をまだ脱していない。
◆これら主力銘柄が浮上しなければ、日経平均株価の上昇につながらず、マーケット全体が盛り上がるのは難しい。日経平均株価は2月10日に2万7880円まで切り返したがアヤ戻しで、正念場となる節目の2万8000円手前で頭を叩かれてしまった。日経平均株価が冴えないと、好業績の個別株の伸びも限られるだろう。
◆日本株のカギを握るのは米国株(NYダウ、ナスダック)だが、それとは別に日本の3月は先物とオプションのメジャーSQ(3月11日)や確定申告、年度末などの関係で調整が入るというアノマリー(経験則)がある。加えて、今年は4月に控える「市場再編」も影響しかねない。そして、ご承知のように「彼岸底」の格言もあるだけに、個人投資家としてはしばらく慎重姿勢で臨むことも一策となろう。
◆米国の1月消費者物価は前年同月比7.5%上昇し40年ぶりの高い伸びとなった。1月の米雇用統計(非農業部門の雇用者数が46万7000人増、市場予想は15万人増)にも驚いたが、いま米国はインフレ懸念を確実に強めており、10年物国債利回りが2%台に乗せるなど、マーケットはFRB(米連邦準備制度理事会)による利上げピッチの加速と資産売却を予想し始めている。
◆インフレ懸念とウクライナ情勢に振らされる乱高下の展開が続くだろうが、NYダウなら2月9日につけた高値3万5824ドルを、ナスダックなら10日につけた高値1万4509ポイントを抜かなければチャートに好転の兆しは表れず、先行きの二段下げリスクも払拭できない。米国株好転の兆しを確認するまでは様子見で、好機を待つという姿勢も悪くない。
(2月17日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース