馬渕治好氏【乱調展開続く東京市場、年度末相場の展望を読む】(1) <相場観特集>

特集
2022年2月21日 18時30分

―ウクライナ情勢と米インフレへの警戒で強まる不透明感―

週明け21日の東京株式市場は、日経平均株価が3日続落。朝方は一時570円あまりの急落をみせる場面もあった。その後は米ロ首脳会談が行われる方向となったことが報じられ、全体相場は急速に下げ渋ったが、戻し切れずに2万7000円台を割り込んだ水準で着地している。ここから期末に向けた相場展開はどうなるのか、また株式市場にも大きな影響を与える為替の動向も気になるところ。株式相場の展望についてはブーケ・ド・フルーレットの馬渕治好氏に、為替の展望については外為オンラインの佐藤正和氏に話を聞いた。

●「日経平均は3月期末にかけ深押しも」

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

東京市場では、先行き不透明感の強い環境下でなかなか上値を追いにくい状況が続いている。ウクライナ情勢については今のところ落としどころが見えず、関連するニュースが出るたびにそれに日経平均など全体指数が反応して、上下にボラティリティの高い展開を余儀なくされている。きょうも先物主導で荒い値動きをみせ、当分はこうした不安定な地合いが続くことが予想される。

仮にウクライナに絡む地政学リスクが後退しても、米インフレ圧力を背景とした米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に対する警戒感は拭えない。3月中旬に行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和の終了と同時に政策金利の引き上げ実施が濃厚とみられているが、その利上げ幅が0.25%なのか0.5%なのか定かでなく、量的引き締め(QT)に関する時期や規模などについても、これに関する情報は現時点ではほとんど出ていない状況だ。

また、ウクライナ問題に絡む米ロ対立だけでなく、米中摩擦も再燃の兆しをみせていることが全体相場には重荷となる。中国はパラリンピックが終了する3月13日以降、何かしらのアクションをみせ米国を揺さぶってくる可能性がある。

こうした外部環境を考慮して、日経平均株価は3月期末までに、大きく下値を模索する展開となり2万5000円近辺まで水準を切り下げる可能性があるとみている。しかし、日本経済がリセッションに陥ることはないであろうし、23年3月期の企業業績が減益となる確率も低いとみられる。したがって期末にかけては下値リスクの強い展開を強いられようが、その後は再び水準を次第に戻していくのではないか。年央以降は日米株市場ともに戻り相場の色を強めると考えている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(まぶち・はるよし)

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程修了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は多数。最新の書籍は「コロナ後を生き抜く 通説に惑わされない投資と思考法」(金融財政事情研究会)。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。

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