鈴木英之氏【ウクライナ情勢で乱高下、年度末相場を占う】(1) <相場観特集>

特集
2022年2月28日 18時30分

―ロシアの軍事侵攻で思惑錯綜、マーケットは立ち直れるか―

週明け28日の東京株式市場では、日経平均株価が前週末終値を挟んで右往左往する展開となった。ウクライナ情勢を巡る思惑が錯綜するなか方向感が定まらない。前週末の米国株市場ではNYダウが800ドルを超える今年最大の上げ幅をみせたが、先行き不透明感は依然として強い。3月期末に向けての相場展望を第一線で活躍する市場関係者2人に聞いた。

●「リスク抑える局面に、配当権利取りなど注目」

鈴木英之氏(SBI証券 投資情報部長)

ロシアがウクライナに侵攻し、今後の展開が不透明感を強めるなか、相場は見通しにくい状況にある。今後の展開次第では、戦後の安全保障の枠組みも変わりかねない局面にある。更に、米国を中心とするインフレ懸念にも対応していかないといけない。

過去には、湾岸戦争やイラク戦争もあったが、今回は場合によっては米国とロシアが直接対峙するような状態にも発展しかねない。それだけに、過去の経験則を簡単に当てはめることはできないだろう。常識的には、落としどころを探る展開となるのだが、そのシナリオが見えない。ロシアが優勢のなか停戦に合意し、ウクライナの非武装化を進めていくとロシアにとって良いとこ取りの結果にもなりかねない。ウクライナのNATO加盟問題を一定期間棚上げにするなどの案も考えられるかもしれないが、実際どうなるかは不明だ。

そんななか、今後1ヵ月程度の相場は、中間的なシナリオを想定したうえで、日経平均株価は下値が2万5700円前後、上値が2月の戻り高値水準である2万7700円前後を見込む。もし、紛争がダラダラと続くようなら2万4000円を意識するような展開となることも想定しておくべきかもしれない。基本的には荒い値動きが予想され、ポジション的には現金を厚めに持ち、積極的なリスクを取ることは抑えることが推奨される。

3月の期末を意識して配当や株主優待の権利取りに注目したい。また、ロシアのウクライナ侵攻に絡んでサイバーセキュリティー関連銘柄も関心を集めそうだ。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(すずき・ひでゆき)

早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資情報部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。

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