【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─底打ち転換のシグナル「初白」銘柄に注目!

市況
2022年2月27日 9時30分

「底打ち転換のシグナル『初白』銘柄に注目!」

●想定外のウクライナ侵攻、市場の向かう先は?

ロシアのウクライナ侵攻、いや、侵略が始まった。この原稿を書いている時点でも、ウクライナのほぼ全土がロシアの爆撃を受けていると見てよい。

こんな事態は正直、想定外だ。ウクライナ問題を常識の範囲内で考えていたからだ。欧米各国首脳とプーチン大統領との話し合いが繰り返されることで、どこかで落としどころが見つかるだろう――こんな見方は甘かったことになる。

それにしても、世界の大国が隣国に直接武力を行使するようなことが起きるとは、だ。このような事態でも欧米各国はウクライナを軍事支援することができないという。ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に加盟していないからだが、このような状況をわれわれ投資家はどう見て、どう対応すべきなのか。

これが大事になるわけだが、答えは目先の混沌の中からは探しにくいので、過去の類似例に求めたい。ご承知のように、ロシアが他国に侵攻するのは今回が初めてではない。大昔はともかく、近年でも3回ある。

・1979年12月……アフガニスタンに侵攻

・2008年8月……グルジア(現ジョージア)に侵攻

・2014年3月……ウクライナのクリミアに侵攻

そして、今回のウクライナ侵攻になる。過去3回の侵攻のうち1979年から10年ほど続いたアフガニスタンへの侵攻は失敗だったとされており、実際、当時のソ連は同国から撤退を余儀なくされている。

しかし、グルジア、クリミアへの侵攻は成功し、それによる成功パターンができ上がったことで、今回もそれを踏襲したことになる。

では、ここではロシアにとって成功例となったクリミア侵攻によって、株式市場はどう動いたかを振り返っておこう。

ロシアのクリミア侵攻は、2014年3月1日。当時の日経平均株価はこれを受けて一時1万4443円まで急落した。その後、同年4月に1万3885円の安値を付けたあと回復に転じて、6月には1万5442円の高値、7月には1万5759円の高値と次第に水準を切り上げ、その年の年末には1万8030円の高値へと駆け上がった。

もちろん、当時と現在では社会、経済環境が異なるため、同次元で論じることはできないが、ロシアがクリミア占有という無謀をやってのけた後なのに、株式市場はそれを忘れたかのように上昇を続けたのだ。

こんな動きになったのは、クリミア侵攻まで市場は不透明感を嫌気して下げたものの、侵攻の実施によってそれが薄れたため、買い直しが入り始め、次第にそれが加速したからだ。

●不透明感の後退とともに2進1退の回復へ

これは現状についても言えることだ。ロシアのウクライナ侵攻により、プーチン大統領らの偏った歴史観と手段を選ばぬ独裁者特有の専制的な正体が明らかになったのだ。これにより欧米のターゲットは明確になり、経済制裁を主体とした制裁を実行しやすくなる。

市場が嫌うのは不透明感であり、方向性が決まればそれとともに走り始める。だからといって、一斉に全面高とはならないものの、市場は次第に落ち着きを取り戻し、2進1退の回復が見込めるため、投資対象は次のような銘柄に絞りたい。

まずはトヨタ自動車 <7203> になる。特に収益が悪化したわけでもないのに、株価は1月18日以降、上下動を繰り返し、直近では2100円を割り込む場面もあった。だが、週末25日は日足の小さな陽線(私は「初白」と呼んでいる)が立った。ここからどんどん上がるということにはならないだろうが、回復基調に転じると見てよい。

同様に売られる一方となっていたソニーグループ <6758> にも「初白」が出現した。これまた浮上の兆しと考えられる。

すでに「初白」が22日に出て、その後も株価が上昇を続けている銘柄の一つにシスメックス <6869> がある。検体検査機器や試薬に強い会社で、収益は絶好調ながら株価は今年に入って大きく売り込まれてしまった。しかし、業績に問題があるわけではないため、ここは拾いどころといえる。ただ、値動きが大きいため押し目を狙いたい。

クレジットカードなどの決済サービスに強いシステムインテグレータのTIS <3626> も、昨年12月から売られ続け、それが何と2月24日まで続いてしまった。収益力に問題があるわけではないので、底値で「初白」が出現したことでもあり注目だ。

すでに高値圏にある銘柄にも目を向けておくと、G-7ホールディングス <7508> がある。食品販売の「業務スーパー」、自動車用品販売「オートバックス」、これら2つの人気フランチャイズを展開。収益を着実に伸ばし続けているため、株価は高値圏ながら更なる浮上が見込める。

最後に間もなく3月相場入りすることを考えると、高配当狙いの投資が盛んになるため、商船三井 <9104> 、住友商事 <8053> 、スズデン <7480> が魅力的だ。

2022年2月25日 記

株探ニュース

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