山っ気ありでも“岸り人”回避で築いた「5つのマイルール」
すご腕投資家に聞く「銘柄選び」の技 www9945さんの場合-最終回
登場する銘柄
JPN債権回収(現在は上場廃止) |
1990年代、年収300万円の清掃員だった頃に、100万円を元手に株式投資を開始。投資歴が25年近くなる現在は、5億円以上の財産を築き上げているサラリーマンの星。投資スタイルは、割安成長株に着目しピラミッティングで利益の最大化を目指すとともに、インカム狙いの高配当株投資を並行して行うやり方。投資対象は日本株を主軸とし、米国株やベトナム株に加え、最近はフィリピン株にも対象を広げている。趣味は銘柄発掘も含めた街角ウォッチング。
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すご腕第1回「ウクライナ侵攻に米利上げ、そして岸田政権の逆風も乗り切る『6つ』」を読む
「ついに『岸り人』になりました。相場を退場します」
最近、株式の投資家が集うSNS(交流サイト)のグループの中では、こうしたコメントが目立つようになってきた。
「岸り人」とは、10日足らずで10%以上もの株価下落を招いた"岸田ショック"や、岸田政権誕生後にマザーズ市場の不振などで大ヤラレを食らって多くの投資資産を溶かした人や、種銭を失い相場から退場せざるを得なくなった人を指すスラングだ。
今回登場中のwww9945さん(ハンドルネーム、以下、9945さん)も、約25年にもわたる長い投資生活の中で、今でいう「岸り人」になる怖さを幾度となく経験してきた。その背景には、荒れ相場でもフルインベストで向かう「山っ気旺盛」な性格がある。
それでも、岸り人ではなく「億り人」の地位を保ち続けているのは、足元のようなボラティリティ(株価の変動率)が大きい局面では、少しの気のゆるみや失敗で資産を一気に吹き飛ばしてしまう恐ろしさを痛感し、守りのルールを着実に実行してきたからだ。
その具体策とは?
■右肩下がりの東証マザーズの日足チャート(2021年9月~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、
同値は「グレー」。以下同
ピンチから築いた5つのマイルール
9945さんがこれまで経験したピンチを教訓に作成したマイルールが以下の5つになる。それは、
① レバレッジは1.5倍まで
② 信用取引の維持率(委託保証金維持率)は66%になったら「赤信号」扱いに
③ 損切りは、買い値より10%下回ったら実行
④ ポートフォリオの主力銘柄では、株価が25日移動平均線を割ったら機械的に
一部を利確か損切りする
⑤ ナンピン不可&ダウントレンドの株は、基本、手出しせず
――となる。今シリーズの2回目の記事でも触れているように、9945さんは「スカイツリー&ソラマチ」と呼ぶ攻めと守りのポートフォリオを組む。
攻めのスカイツリーの部分では、「これだ」という銘柄を見つけた後は、信用取引を使い、ピラミッティング(増し玉)と呼ばれる手法で徐々にポジションを拡大させていくやり方だ。
5つのマイルールは、本丸のスカイツリー戦略で大きなリスクを取っていることを踏まえて設けたものだ。中でも、①のレバ1.5倍と②の維持率66%は、想定外の損失を被らないためのキモだ。
①については、最大で掛けられる3倍強のレバの約半分の水準に抑えていることで、リスク抑制策としてすんなり頭に入る。だが②の維持率66%については、少々説明が必要だろう。
というのも信用取引では、追加の保証金を入れる追証(おいしょう)や強制決済になる危険ラインとして、一般に30%が目安とされている。そうした中で、なぜ66%なのか?
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