来週の株式相場に向けて=「中銀ウイーク」突入で潮流変化はあるか
来週は、15~16日にかけていよいよ米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。年初から注目されてきたビッグイベントだが、2月下旬のロシアによるウクライナ侵攻で若干影に隠れた面もあるが、相場に与える影響度は当然大きい。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は3月のFOMCでは「0.25%の利上げ」を明言しており、問題はその後の利上げペースとなる。そのFOMCを前に発表された米2月消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.9%上昇と40年ぶりの伸びとなり、インフレ加速が示された。こうしたなかエコノミストからは「FF金利先物が織り込んでいる年内の利上げ回数は6.5回程度で高止まりが続いている」との見方が出ている。
緊迫化するウクライナ情勢の下でも、FRBは粛々と利上げを行うという予想が主流というわけだ。それだけに、今回のFOMCで示される「ドット・チャート(金利予測分布図)」やパウエル議長の記者会見がタカ派色を濃くするものとなれば、相場は更なる金利上昇を織り込む展開もあり得る。もっとも、現在の相場の最大の不確定要因となっているのは、やはりウクライナ情勢だ。原油価格とインフレ懸念はリンクしているだけに、ウクライナ情勢が落ち着き原油価格も下落すれば、相場は反発に転じることも期待できる。
更に、16~17日には日銀金融政策決定会合も開催される。金融政策は現状維持の見通しだが、内外でのインフレ懸念が高まるなか、黒田日銀総裁の会見などが注目されている。来週は米国と日本の「中央銀行ウイーク」となるなか、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>や三井住友フィナンシャルグループ<8316>といった大手銀行株が注目されそうだ。
他のスケジュールでは、海外では15日に米2月生産者物価指数(PPI)、16日に米2月小売売上高、17日に米2月住宅着工件数が発表される。国内では16日に2月貿易統計、17日に1月機械受注、18日に2月CPIが発表される。17日に守谷輸送機工業<6226>が東証2部に新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは2万4500~2万6000円前後。(岡里英幸)