【植木靖男の相場展望】 ─当面の物色の軸は売られ過ぎ銘柄か

市況
2022年3月19日 8時00分

「当面の物色の軸は売られ過ぎ銘柄か」

●株式市場の潮目は変わった?

日経平均株価は3月8日に2万5000円の大台を1年4カ月ぶりに割ると、翌9日には2万4717円まで売り込まれた(終値ベース)。背景には、ウクライナ情勢を巡る不透明感、アジア株の急落、そして資源価格の高騰を受けて、市場の警戒感が極度に高まったことがある。

こうなると、下値の予測も極端になりやすい。下値メドは2万円から2万2000円といった一見もっともらしい数字が並べられることになる。環境が環境だけに、こうした数字を信用する投資家も増える。しかし、この日、WTI原油先物価格が大きく下げたことで、NYダウは653ドル高と5日ぶりに大幅反発した。そして、日経平均株価もこの9日安値から大きく切り返し、2万7000円台を視野に捉えてきている。

ところで、いまや新聞、テレビが連日、ウクライナ情勢を報じている。かつてこれほど戦争が実況報道で伝えられたことがあったろうか。一部報道によると停戦が近いとの情報もある。前回、豊臣秀吉が仕掛けた大国・明の攻略に触れたが、これはなぜ失敗したのか。他国に侵略するとき、考慮すべきは次の3つとされる。すなわち、(1)地の利、(2)兵の士気、(3)兵站である。秀吉もこれらを無視してしまった。今回、ロシア側は戦略の天才、プーチン大統領もこの要件で失敗しているかにみえる。

停戦に向けた交渉の進展が期待されるが、想起されるのはまたもやわが国の戦国時代、すなわち徳川家康の大坂の陣だ。大阪城の攻略は難航を極めた。城の堀があまりに広く、深いからだ。そこで家康は停戦を持ちかける。そして停戦中、城の堀を埋め立ててしまう。夏の陣では防御の要(かなめ)が消えたことで、一気に総攻撃をかけて家康は勝利する。プーチンはこの家康方式を狙っているのか。

●買い越しをみせる個人投資家

日米の株式市場は、原油価格の急落で息を吹き返した。日経平均株価は一気に反転上昇し、3月17日には窓を空けて戻り相場につきものの“肝”となる水準を突破した。“肝”の突破が三日天下ではなく、明確にこれを上回るなら2万8000円への反騰も可能であろう。そうなれば底入れ感が投資家心理に定着しそうだ。

ところで、ここへきて需給が注目されている。通常、大きな下げ相場では海外勢が先行し、やや遅れて信用の投げなど個人投資家の追随売りが強まるのがパターンだ。

だが、今回は違う。海外勢はこのところ現物を大きく売り越しているが、個人は多少、信用の投げはあっても現物は買い越しているのだ。個人の懐は十分のようだ。そういえば、いまや家計の現預金は1000兆円を超えているのだ。これが、底が浅い背景なのかもしれない。

では、こうした反騰初期での物色はどうみたらよいのか。当面は下げ過ぎの材料株、好業績株が、バリュー株、グロース株を問わず物色される展開となろう。もちろん、いずれ新たなテーマ、業種に絞られようが、いまはまだ早いといえる。

ロシア、ウクライナ情勢が混迷を強めるとあって、防衛関連株が静かな人気となっている。そこで日本製鋼所 <5631> に注目したい。かつて同社は原子炉用圧力容器で人気を集めたが、いまや樹脂成形機やセパレータ製造装置で世界有数の企業となり、火砲システムなど防衛関連としてもつとに名高い。まだ株価は底値圏だ。

次に東邦亜鉛 <5707> に注目だ。鉛製錬、環境リサイクル、資源すべての分野で増収益予想だ。25円増配に注目したい。

このほか島津製作所 <7701> も面白そうだ。医薬品業界向けに分析計測機器が好調という。2022年3月期は連続で史上最高益を更新する見通しだ。

2022年3月18日 記

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