「実用」から「癒やし」まで、新成長期迎える「家庭用ロボット」妙味株7選 <株探トップ特集>

特集
2022年3月26日 19時30分

―前澤ファンドの投資で一躍脚光、「次世代ペット」の市場はロボットが獲得!?―

家庭用ロボットが新たな成長局面を迎えている。これまで家庭で使われるロボットと言えば、「お掃除ロボット」に代表される実用重視タイプが多かった。しかし、足もとでは「癒やし」型のロボットが新市場を切り開こうとしている。次世代のペット市場を担うのはロボットとなるのかもしれない。

●前澤友作氏の新たな関心は家族型ロボットに向かう

2021年12月に日本の民間人として初めて国際宇宙ステーション(ISS)に滞在した衣料品通販大手ZOZOの創業者である前澤友作氏だが、彼を巡る新たな動きが伝わっている。今月15日には、同氏が運営する前澤ファンド(東京都港区)がロボットベンチャーであるGROOVE X(グルーブエックス、東京都中央区)株式の過半数を取得したことが発表された。なお、4月5日時点で前澤ファンドが全株式を取得する予定だ。

GROOVE Xは、家族型ロボットである「LOVOT(らぼっと)」を展開しており、メディアに登場した実績もある。LOVOTは次世代ペットとも呼べる家族型ロボット。柔らかく、本物の生き物のような温かいカラダ、目も声も性格も違い個性があるだけでなく、一緒に過ごす時間の中で、少しずつ家族になっていくという特徴がある。最初の「とまどい期」では大人しく、そわそわとしてテンションも低めに見えるが、3ヵ月もすれば「LOVE期」に入りすっかり家にも慣れて、抱っこをせがむようになるという。前澤氏は「ロボットに癒やされるなんて想像もしませんでした。クゥンクゥンって言いながら上目遣いで近寄ってくる『LOVOT』に完全に心奪われました」とコメントしている。今回のGROOVE Xの株式取得は、前澤氏が家庭用ロボット事業に参入することを意味する。これを受け、にわかに家庭用ロボットに対する関心が高まっている。

●コロナ禍を経て癒やし型ロボットに受け入れ機運も

多くの人がイメージしている家庭用ロボットは、ロボット掃除機「ルンバ」のように家事を代行してくれるような存在だろう。ロボットの可能性を広げる旗手としてソニーグループ <6758> が過去に「AIBO」を送り出したが、発売当初の驚異的なブームとは裏腹に06年に生産を終了した。しかし、18年から「aibo」として再登場していることはあまり知られていない。

これまでの社会では物質的な豊かさが追求されてきたが、その限界及び弊害の自覚とともにコロナ禍という急変のなかでポスト資本主義を希求する流れが足もとでは加速している。そうしたなかでロボットの領域においても、実用という既存の巨大分野とはまた別に、「心のゆとり」に繋がるような過去に定着しきらなかった分野の可能性も急浮上してきている。

株式市場においては、実用以外の家庭用ロボット関連の銘柄はまだ限られている。しかし、コロナ禍を克服し、新たな社会や生活のあり方が構築されていくなかで、成長可能性が広がっている同テーマには、ベンチャー企業の活発な挑戦も期待され、そこに上場企業がさまざまな形で関わってくる余地は大いにあるだろう。以下、LOVOTに採用された技術などを中心に家庭用ロボット関連株を挙げてみた。

●I・PEXやイノテック、ミクシィ、タカラトミーなど注目

I-PEX <6640> ~コネクターやセンサー、半導体製造装置の開発・製造を手掛けている。新規事業への取り組みとして、トルクセンサー、医療向け光アブレーション装置、航空機エンジン部品、リチウムイオンバッテリー用集電体などを展開している。LOVOTには細線同軸コネクター(基板対電線)であるCABLINE-CA、CABLINE-VSが使われている。

イノテック <9880> ~エレクトロニクス商社であり、グループのレグラスではインテリジェントカメラや建機・ドローン・自動車向け画像処理ソリューション、安全監視人工知能(AI)カメラシステムなどを手掛けている。レグラスのAIカメラシステム「EigerⅡ」は、LOVOTに採用されている。

ミクシィ <2121> ~同社が独自に開発したAIを搭載した自律型会話ロボット「Romi(ロミィ)」は、会話に特化した手のひらサイズのコミュニケーションロボットとなる。21年5月28日付で世界初の「ディープラーニング技術を用いて言語生成し会話する家庭用コミュニケーションロボット」としてESP総研(東京都港区)によって認定されている。

コニカミノルタ <4902> ~LOVOTの表現を拡張する画像IoT/AI技術開発の協業を20年より推進。物体認識・姿勢認識における最適化された学習済みのディープラーニングモデルを開発している。これまでの人の認識能力に加えて人の姿勢や行動を認識させ、LOVOTの表現を豊かにする可能性を探る技術である。

NTT <9432> ~21年1月にNTTドコモはGROOVE Xと資本・業務提携しており、新たなコミュニケーションサービスの創出のほか、ヘルスケア・メディカルケア分野での新規事業や開発などで協業。また、LOVOT次世代機への5G回線搭載の検討など、幅広い分野・領域で協業している。

HOYA <7741> ~ミクシィのRomiでは、同社のディープラーニング技術を使ったReadSpeaker(DNN音声合成)を採用している。ReadSpeakerの音声合成ソリューションは日本のみならず、海外でも展開しており、IVR、車載機、AI対話サービス、放送、Web読み上げサービスなどの用途で利用されている。

タカラトミー <7867> ~「DORAEMON with U(ドラえもん ウィズ ユー)」「こっちむいて!Robi(ロビ)」「ハロー!はらぺこラビット」「Hello!QB(ハロー!キュービー)」などのオムニボットを提供している。

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