田部井美彦氏【4月新年度はこう動く、日経平均の目指す場所】(1) <相場観特集>
―空売り買い戻しで強烈リバウンド後、次のステージは?―
週明け28日の東京株式市場は軟調だった。空売りの買い戻しを原動力に日経平均株価は前週末まで9連騰したが、きょうはその反動で利益確定売りが優勢となり、フシ目の2万8000円台を再び割り込んだ。前週末の米国株市場もNYダウが高かったもののハイテク株の一角は軟調な動きをみせるなど米長期金利上昇を警戒する動きがみられる。4月新年度相場入りを目前に、ここからの展望をどう読むか。市場第一線で活躍する業界関係者2人に意見を聞いた。
●「5月FOMCの『QT』が重要ポイントに」
田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)
日本や米国の株式市場が急激な反発に転じた要因には、3月米連邦公開市場委員会(FOMC)を通過した安心感もあるだろう。ただ、米国の利上げは予想以上のペースで実施される見通しであり、目先の戻りはあっても株価の急ピッチな上昇はいったん終わるかもしれない。
今後、来月下旬からの日本企業の決算発表が注目されるが、為替や原油価格がこれだけ動くと、個別企業では、業績見通しの発表を見送る動きが強まることもあり得る。また、ウクライナ危機に関しては小康状態から徐々に沈静化していくことが期待されるが、状況が緊迫化すれば、相場が急落することも予想されるだけに、なかなか織り込みづらいのが実状だ。当面の日経平均株価の予想レンジは2万7500~2万8500円前後の高値圏でのもみ合いを見込んでいる。
こうしたなか、5月3~4日に予定されているFOMCが重要なポイントになるとみている。0.25%あるいは0.5%の利上げはすでに織り込んでいるとみられるが、焦点となるのは「QT(量的引き締め)」に向けた動向だろう。5月FOMCでQTを即日実施することになれば相場は下落することが予想される。しかし、QT実施に向けた見通しを示す程度なら日経平均株価はその後、強含みの展開となることが期待できる。
個別銘柄では、景気回復期待を背景にしたバリュー系内需株などに注目している。オリエンタルランド <4661> は、国内での客足が戻ることになれば、業績の回復が見込めるだろう。また、半導体関連銘柄でも荏原 <6361> や高い成長性が見込める信越化学工業 <4063> などはバリュー系銘柄として評価することもできると思う。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。
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株探ニュース