窪田朋一郎氏【4月新年度はこう動く、日経平均の目指す場所】(2) <相場観特集>

特集
2022年3月28日 19時45分

―空売り買い戻しで強烈リバウンド後、次のステージは?―

週明け28日の東京株式市場は軟調だった。空売りの買い戻しを原動力に日経平均株価は前週末まで9連騰したが、きょうはその反動で利益確定売りが優勢となり、フシ目の2万8000円台を再び割り込んだ。前週末の米国株市場もNYダウが高かったもののハイテク株の一角は軟調な動きをみせるなど米長期金利上昇を警戒する動きがみられる。4月新年度相場入りを目前に、ここからの展望をどう読むか。市場第一線で活躍する業界関係者2人に意見を聞いた。

●「4月は前半高で後半調整の流れに」

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

東京株式市場では、日経平均が3月中旬を境に急速に水準を切り上げてきたが、ここからの相場のポイントをひとことで言えば、米長期金利の上昇と為替の円安が綱引きする形で強弱観を左右するとみている。

米10年債利回りは足もとで上昇ピッチを速め、2.5%前後の水準まで浮上、これは米国株市場でも強く意識され、金融株が買われる一方でハイテク株の上値を重くしている。ただ、東京市場では1ドル=123円近辺まで円安が進行していることで、為替差益が見込める輸出セクターには追い風材料となっている。円安は輸入コストの上昇をもたらし、総体的にみれば企業業績に与えるマイナスの影響は無視できないが、日経平均を構成する輸出関連株にとっては力強い援軍だ。

ただし、気をつけなければいけないのは中国のゼロコロナ政策で、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に再び主要都市でロックダウンが相次いでいるが、直近では上海のロックダウンもあり、サプライチェーン混乱による影響が日本企業にも幅広く及ぶ公算が大きい。株式市場でも今後波乱要因となる可能性がある。一方、ロシアのウクライナ侵攻については、明らかにロシア側が攻めあぐねている状況で、早晩停戦に向かう可能性も出てきたのではないかと考えている。

4月相場では前半はリバランスの買いに加え、依然として空売り筋の買い戻しの残玉があるとみられ、これを足場に日経平均が強調展開を維持しそうだ。上値は2万8500円前後とみている。しかし、後半は買いが一巡し再び下値を探る展開を想定する。24ヵ月移動平均線が位置する2万6400円どころが下値メドとなりそうだ。

物色対象としては、為替の円安進行を背景に収益メリットが見込まれるトヨタ自動車 <7203> などの自動車株や、その周辺のデンソー <6902> などに優位性がある。このほか、月前半は東京エレクトロン <8035> など半導体製造装置の上値余地にも注目している。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)

松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。

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