桂畑誠治氏【新市場スタート、4月新年度相場はどう動く】(1) <相場観特集>
―米インフレやウクライナ情勢など不透明材料克服できるか―
週明け4日の東京株式市場は日経平均株価が前日終値を挟み方向感なくもみ合う展開となった。きょうから市場再編に伴い、東証1・2部、ジャスダック、マザーズの4市場が「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に変わったが、初日の商いは手探り状態で主力銘柄の売り買いは様子見ムードが強かった。ただ、市場は変わっても個別企業のファンダメンタルズはこれまでと変わらない。4月相場の見通しについて第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。
●「FRBの利上げ加速も底堅い動きに」
桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)
東京株式市場はプライム市場を筆頭とする3市場に再編されたが、全体相場はこれによって相場の流れが変わるということはなく、やはり米国の金融政策や足もとではウクライナ情勢などの動向に左右されることになる。
ウクライナ情勢については、ロシアとウクライナの間で停戦が実現することへの期待感が株式市場には漂っているが、実際はそう簡単に話がまとまる感じではないとみている。ロシア軍はウクライナ全土を占領することは困難と判断し、キーウ(キエフ)周辺から撤退したが、これは解決を意味するものではなく、過度な期待は禁物といえそうだ。
一方、インフレ高進に悩まされる米国では、連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め政策に向けた動きが加速する可能性がある。注目された3月の米雇用統計は1月と2月合計で9万5000人上方改定されたことを考慮すると予想よりも強い内容だったほか、失業率が3.6%に低下しており、労働市場の一段の逼迫を示すものだった。この雇用統計を受けて利上げピッチを速める必要性が改めて確認された。
FRBが5月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%政策金利を引き上げる可能性について米株市場はかなり織り込んでいるほか、6月の0.5%利上げについても織り込み始めている。一方で米債券市場では2年債利回りと10年債利回りの逆イールド現象がみられ、将来的なリセッション懸念も暗示する状況にあり、これを株式市場もどこまで織り込むのか現状ではまだ見えにくい。
今月の米国株市場では、NYダウが強弱観対立のなかも底堅く推移し、外部環境が今より大幅に悪化しなければ、3万5000ドル台での値動きを予想する。東京市場では、日経平均が上下2000円幅程度のボックスゾーンでの往来となりそうで、上値は2万8500円どころ、下値は25日移動平均線が位置する2万6600円近辺がメドとなる。物色対象としては、世界的な半導体需給の逼迫が続いていることから、半導体製造装置を含む半導体関連株の押し目買いが有効とみている。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。
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