明日の株式相場に向けて=鍵握る「FOMC議事要旨」「安川電決算」
きょう(6日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比437円安の2万7350円と3日ぶり急反落。「プライム」を筆頭とする新市場が立ち上がった今週、日経平均は抜き足差し足でスタートしたが、3日目に大きな揺れに見舞われた。日経平均は後場戻り足となったものの、一時は570円あまり下げる場面もあった。今週末はオプションSQ算出が予定され、忘れられがちだが、きょうは“SQ前の魔の水曜日”でもあった。外部環境に目を向けると、ウクライナ情勢など地政学リスクが依然としてくすぶり、ロシアへの経済制裁強化の動きも西側諸国に反動が生じることが警戒されている。きょうは米財務省がロシア国債の今月4日の利払い(ドル建て)について、手続きを承認しなかったことが伝わった。戦争の財源枯渇を目的としたものだが、ロシアのデフォルトの可能性が濃厚となったことで、世界の株式市場に影を落とすことになる。
米国のインフレ高進も悩みの種で、複数の連銀総裁や直近のブレイナードFRB理事の発言を聞く限り、FRBがタカ派集団に変貌していることが手に取るように分かる。今月はFOMCが開催されないが、それに代わるイベントとして、日本時間あす未明に開示されるFOMCの議事要旨(3月15~16日開催分)の結果に投資家や市場関係者の耳目が集まることになる。ブレイナード氏の発言はその議事要旨の内容を事前に反映しているはずであり、ある意味クラッシュ(暴落)を避けるガス抜き的な意味合いもあったと思われる。しかし、仮にそうだとしても議事要旨通過後のマーケットは荒れ模様となる可能性が否定できない。株式市場にフレンドリーだったFRBに今やその面影は全くみられず、むしろ株価を下げることを是としているからだ。これまでインフレが深刻視されている割には、音無しの構えだった米10年債利回りも直近2.6%近辺まで上昇、地響きをあげて動き出した感が強い。マーケットに資金をロングタームで寝かしづらい環境が再び訪れそうだ。
市場関係者によると「今回の議事要旨で明らかとなるかどうかは不明だが、米国株市場は5月と6月は連続で0.5%政策金利を引き上げる方向で織り込みが進んでいる。しかし、ブレイナード氏はFRBのバランスシート縮小も早急に進めるべきとの持論を展開した。つまり政策金利の引き上げと並行して、量的引き締め(QT)も5月からスタートさせることが考えられる状況となってきた。株式市場もここまでは織り込んでいないと思う」(ネット証券マーケットアナリスト)とする声があった。
東京市場でもこういう状況下では、買い戻しが一巡すれば勢いを失う。今はまだ、上値を実需で買い進む動きは期待しにくい。半導体関連など主力株については上値は限定的であり、これは常に売買代金上位に顔を出すレーザーテック<6920>の値動きが象徴している。やはり、マーケットは23年3月期の企業業績を警戒しているのである。輸出比率の高い製造業にとって折からの円安は追い風となるが、それ以外の外部環境を考慮した場合、企業側にとって下方修正リスクのある収益計画は掲げにくい。おのずと保守的な予想になるのは仕方がないところだが、4月後半の株式市場にとっては向かい風が強くなる。
企業業績の目安として差し当たって注目必至となるのが、SQ算出日でもある今週末8日に予定される安川電機<6506>の決算発表だ。同社は2月決算企業だが、製造業のトップバッター。ゴールデンウイークを挟んで決算発表ラッシュを迎える半導体や機械セクターの今期業績見通しのプレビューとして、重要なカギを握っている。
個別株戦略では、きょうは総じて安かったものの貸株調達に伴う空売りの残玉がありそうなバイオ関連を継続注目。株価低位の免疫生物研究所<4570>、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所<4576>、トランスジェニック<2342>などに妙味が感じられる。また、車載用や5Gスマートフォン向けで需要沸騰の水晶デバイス関連として、大真空<6962>、リバーエレテック<6666>、日本電波工業<6779>などをマーク。
あすのスケジュールでは、3月上中旬の貿易統計、2月の景気動向指数(速報値)、3月のオフィス空室率のほか、30年物国債の入札も予定される。また、スタンダード市場にエフビー介護サービス<9220>が新規上場する。海外では2月の豪貿易収支、2月の米消費者信用残高などが発表される。(銀)
最終更新日:2022年04月06日 17時32分