春風到来「IT人材関連」、スキルシェア花盛りで脚光浴びる銘柄群 <株探トップ特集>

特集
2022年4月7日 19時30分

―人材を囲い込むのではなく共有化へ、フリー人材や副業・兼業の手段として重要度高まる―

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、日本にもデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が本格的に押し寄せているが、その一方で 人材不足がDX推進の足かせになっている。こうしたなか、個人の知識や経験などを企業とマッチングする「スキルシェア」が注目されている。人材不足が深刻化するなか、DXに求められるIT技術者やマネジメント経験者など高度人材を確保するためには、人材を囲い込むのではなく、ニーズに合わせて企業や組織で人材を共有することが必要となっていることが背景にあり、今後更にニーズが強まりそうだ。

●スキルシェア市場は急拡大中

スキルシェアとは、個人の特技や技術(スキル)を他人が利用できるようにする仕組みのこと。多くはインターネット上でのマッチングサービスを利用し、デザインやイラスト、マンガ、音楽、動画、ライティング、プログラミングなどのスキルが売買されており、収入に安定を求める人々が副業・兼業の手段としてスキルシェアを活用するケースが増え、裾野は広がりつつある。

シェアリングエコノミー協会(東京都千代田区)が情報通信総合研究所(東京都中央区)と共同で今年1月に発表した「シェアリングエコノミー市場調査 2021年版」によると、スキルシェアの市場規模は21年度には2579億円だったが、30年度には現状ペースの成長でも1兆3043億円へ、新型コロナウイルスによる不安や認知度が低い点などの課題が解決した場合には2兆6637億円へ拡大すると予測している。

●コロナ禍も後押し、副業の手段を求める人が増加

スキルシェア市場が拡大している背景には、日本社会全体でデジタル化が急速に進むなか、同分野に必要な技術や能力を持つ高度人材の不足が顕在化していることがある。例えば経済産業省が19年4月に発表した「IT人材需給に関する調査(概要)」によると、30年には最大で79万人のIT人材が不足すると試算されている。現時点でもIT人材不足は問題視されているが、今後更に深刻さを増していくとの見通しだ。

また、働き方改革などで労働者の意識が変わり始めていることも要因として挙げられる。人材不足により高度人材に対する報酬が上昇していることに加えて、企業が待遇改善のために副業を解禁するケースが増え、労働者が自分のスキルを活用してフリーとして働きやすくなった。更に新型コロナウイルスの感染拡大に伴い職を失った人や、収入に安定を求める人が増えたことも、副業・兼業の手段としてスキルシェアサービスへの注目が高まることにつながった。

日本経済新聞社(東京都千代田区)は昨年12月、同社が運営する企業課題をエキスパートの知見で解決するスキルシェアサービス「NIKKEI SEEKS」のエキスパート登録者数が、20年11月のリリースから1万人を突破したと発表したが、これはその証左だろう。

●人材マッチング企業に注目

企業がDXを導入したり、新しい事業を立ち上げたりするには、専門知識を持った人材が必要になるが、前述のように高度人材が不足する一方、個人のスキルを活用する場が増えているとなれば、人材を確保する手段としてのスキルシェアの重要度は今後も増しそうだ。

関連銘柄として挙げられるのはまずビザスク <4490> [東証G]だろう。同社は業務経験を有する個人のアドバイザーと、その知見を活用したい顧客企業をマッチングするプラットフォーム「ビザスク」を展開。足もとでは登録者数、法人クライアント口座数がともに増加している。最近では昨年11月に売り上げ規模が自社の3倍近い米国の同業であるコールマン・リサーチ・グループを買収したことが注目されており、短期的にはのれんの償却負担が増えるものの、成長力強化が期待されている。

クラウドワークス <3900> [東証G]は国内最大級のクライアント社数、クラウドワーカー数を擁するクラウドソーシングサービス「クラウドワークス」などを運営する。20年9月期以降、本業であるマッチング事業への選択と集中を進めたことで、直近では生産性が向上。昨年10月には同業のコデアル(東京都渋谷区)を買収し、同事業の更なる成長を目指している。

ココナラ <4176> [東証G]は、主に個人向けを中心としたスキルシェアサービス「ココナラ」を運営しているが、足もとでは中小企業を中心としたビジネス利用が拡大。昨年8月にはビジネス向けのプラットフォームとして「ココナラビジネス」をリリースし、登録社数を順調に伸ばしている。今年4月からはインクグロウ(東京都中央区)と業務提携し、全国73金融機関の取引先中小企業約5500社に向けてココナラビジネスを紹介する取り組みも始めている。

ランサーズ <4484> [東証G]は、クラウドWと並ぶ国内最大級のクラウドソーシングサービス「ランサーズ」を運営しており、特定の個人に仕事を依頼するオンラインスタッフィングが主力。昨年11月には、個人のビジネススキルに基づいた商品が作れる「パッケージ方式(納品形式)」をリニューアルし、ビジネスカテゴリーが新たに350種類以上となったことでビジネス利用が増加し流通総額が伸長。今年4月5日には、同方式の更なる拡大を目指しサブスクリプション版の提供も開始した。

エル・ティー・エス <6560> [東証P]は、企業の業務変革を支援するコンサルティングサービスを提供しているほか、子会社アサインナビがIT人材マッチングプラットフォーム「アサインナビ」を運営している。会社側では主力でコンサルティングサービスを行うプロフェッショナルサービス事業は旺盛なDX需要が追い風となっている一方、プラットフォーム事業は22年までは一定水準の投資を維持し、23年以降に収益逓増フェーズ入りすると見込む。

みらいワークス <6563> [東証G]は、プロフェッショナルに特化した人材マッチングサービス「FCエージェント」を展開。また、都市部人材の持つ業務スキルで地方中小企業の経営課題を解決するプラットフォーム「スキルシフト」も運営する。FCエージェント事業では、足もとでDX案件の契約数が増加し、同事業の売り上げを牽引している。

ギークス <7060> [東証P]は、ITフリーランスと企業をマッチングするIT人材事業が主力で、マッチングサイトの「ギークスジョブ」、福利厚生プログラム「フリノベ」を展開。同事業は足もとで稼働人月数、受注単価ともに上昇。四半期に1度発表するレポートによると、大手企業からのITフリーランスを活用したいとの問い合わせも増えているという。

このほか、中堅・中小企業のコーポレートIT部門を対象に、会員制のシェアリングサービスを提供するユナイトアンドグロウ <4486> [東証G]や、IT業界に強い成功報酬型のマッチングプラットフォームを手掛けるアトラエ <6194> [東証P]なども注目したい。

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