来週の株式相場に向けて=東京市場巡る2つの懸念要因
東京市場は、4月に入り新年度相場に突入している。足もとでは3月中旬から9連騰を演じた反動で、上値では利益確定売りに押される動きが強まっているが、下値には買いも流入しており今週の下落は急伸後の当然の一服と見る声は多い。
ただ、ウクライナ危機をひとまず横に置くとすれば、気になるのは言うまでもなく米国の金融引き締めの動きだ。セントルイス連銀のブラード総裁は講演で「3.5%程度まで利上げをする必要がある」とも発言している。こうしたなか、12日発表の米3月消費者物価指数(CPI)が注目されるほか、5月3~4日の米連邦公開市場委員会(FOMC)までは、なお神経質な展開が予想される。
更に、市場関係者からは「東京市場を巡る2つの懸念材料も上値を押さえる要因」(アナリスト)との声も出ている。その懸念要因とは、第1には中国の新型コロナウイルス感染拡大だ。日本経済は中国減速の影響の直撃を受けるだけに、海外投資家は日本株に買いを入れにくい状況だ。また、第2の警戒要因として挙げられているのが、東証再編に絡んだTOPIX浮動株比率見直しの影響だ。東証は7日に具体的な見直しを発表したが、これを受けて政策保有株が多いトヨタ自動車<7203>や伊藤忠商事<8001>などは売りに押された。その影響の大きさからリバランスは3回に分けて実施されるため、6月頃まで折に触れて警戒材料視される可能性がある。
もっとも、東証再編に絡んでは注目されるのは警戒材料だけではない。「親子上場の解消」(アナリスト)などは期待材料であり、今後は親子上場解消に向けた子会社売却、あるいは株式公開買い付け(TOB)なども予想される。そんななか、市場では依然として東証グロース市場を中心とした中小型株の反発に向けた動向が注目されている。
来週は、海外では米国企業の決算発表が本格化する。また、国内でも2月決算期企業を中心に決算が公表される。米国では13日にJPモルガン<JPM>、14日にシティグループ<C>、ゴールドマン<GS>、台湾の台湾積体電路製造(TSMC)ADR<TSM>など。国内では11日にローソン<2651>、高島屋<8233>、12日にビックカメラ<3048>、J.フロント リテイリング<3086>、東宝<9602>、13日に吉野家ホールディングス<9861>、14日に良品計画<7453>、ファーストリテイリング<9983>など。経済指標では13日の米3月生産者物価(PPI)、14日の米3月小売売上高などが注目されそうだ。来週の日経平均株価の予想レンジは2万6500~2万7400円。(岡里英幸)